2020年に興行的な成功を収めた映画作品における、女性が監督した作品が占める割合が記録を更新したとする研究結果が発表された。(フロントロウ編集部)

女性監督の割合が最高に、しかし未だに8割が男性による指揮

 米・サンディエゴ州立大学の「Center for the Study of Women in Television and Film(テレビ/映画における女性研究センター)」による新たな研究結果が発表され、2020年に最も興行成績を収めた100の映画作品のうちで女性が監督した作品が占める割合が16%となり、これまでの最高記録を更新したという。

画像: 女性監督のキャシー・ヤンが指揮をとったDC映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDSOFPREY』に出演した(左から右に)ジャーニー・スモレット=ベル、ロージー・ペレス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、マーゴット・ロビー、エラ・ジェイ・バスコ。

女性監督のキャシー・ヤンが指揮をとったDC映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDSOFPREY』に出演した(左から右に)ジャーニー・スモレット=ベル、ロージー・ペレス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、マーゴット・ロビー、エラ・ジェイ・バスコ。

  世界最大級の映画学校であるニューヨークフィルムアカデミーの生徒のおよそ半数が女性であるなど、多くの女性が男性と同じように映画製作の世界に身を置いているなかで、16%という割合は決して大きな数字ではないものの、過去20年にわたってこのデータを研究しているセンター長のマーサ・ラウゼン博士によれば、2018年のたった4%、2019年の12%という割合と比較すれば上昇しているという。

 また、研究によって、昨年に最も成功を収めた100の映画作品のうちで、監督、脚本、製作総指揮、プロデューサー、編集、撮影監督のすべてを女性が務めた作品が占める割合は、昨年から1%だけ上昇して21%だったことも明らかになっている。今年は新型コロナウイルスの感染拡大によって劇場での公開が制限された影響で、米Digital Entertainment Groupが発表した2020年3月〜12月における「家で最も観られたトップ20作品」のリストも集計対象にしたといい、こちらでは、女性監督作品が占めた作品の割合はわずか10%だったという。

 また、舞台裏の主要なポジションについている女性が0人〜4人だった映画の割合は67%にも上る一方で、10人以上の男性がそれらのポジションについている映画の割合は70%だったという。

 「この不均衡は驚くべきものです」とラウゼン博士は米Varietyに語っている。「良い報せとしては、女性が監督した作品(の割合)が2年続けて大きくなっているということです」と前置きした上で、ラウゼン博士は次のように続けた。「これは、数字が上昇した年があっても翌年には下がってしまってしまうという、近年のお決まりのパターンを打ち破るものとなっています。悪い報せとしては、未だに80%もの映画において女性が指揮をとっていないということです」。

 2020年は、キャシー・ヤンが指揮をとったDC映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDSOFPREY』や、パティ・ジェンキンスが監督を務めた同じくDC映画の『ワンダーウーマン1984』などが成功を収めた。2021年にも、既に女性が監督を務めたいくつかの注目作品の公開が決定しており、クロエ・ジャオが監督した『ノマドランド』や、ケイト・ショートランドが監督を務めたMCU映画『ブラック・ウィドウ』などの公開が控えている。(フロントロウ編集部)

 

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