多岐にわたる領域にチャレンジしているカニエ・ウェスト
キャリアの初期にはジェイ・Zなどのプロデューサーとして名を馳せ、現在は最も成功を収めたアーティストの1人となったカニエ・ウェスト。彼がアーティストとしてリリースした最新アルバムは、今年3月に開催が延期された第63回グラミー賞で最優秀コンテンポラリー・クリスチャン・アルバムにノミネートされている2019年10月リリースの『ジーザス・イズ・キング』となっている一方で、彼は自身のファッションブランドYeezyでも成功を収めている。
フォーブスは2020年4月、カニエの総資産が10億ドル(約1,100億円)を突破したことを認めて、彼をビリオネアに認定したのだけれど、フォーブスは彼の総資産を12億6,000ドル(約1,380億円)と算出して、Yeezyでの資産がそのほとんどを占めていると評価している。さらに、2020年7月には、新たにスキンケア事業に乗り出すためにYeezyの事業を拡大させようとしていることも報じられていた。
加えて、かねてから政治への関心を口にしていたカニエは昨年、満を持してアメリカ大統領選に出馬したことでも大きな注目を集めた。当選は叶わなかったものの、およそ13億円の資金を費やして選挙活動を行なった末に、最終的には約6万票を獲得した。
任天堂とゲームを作る計画があった
音楽、ファッション、政治と様々な領域でチャレンジしてきたカニエだけれど、米任天堂の前代表であるレジナルド・フィサメィ氏によれば、カニエは2016年、『ドンキーコングシリーズ』などのクリエイターとして知られる宮本茂氏を通じて自身に連絡をとってきたことがあったという。
フィサメィ氏はポッドキャスト『Talking Games with Reggie & Harold』に出演して、当時カニエから任天堂とぜひコラボしたいという申し出があったものの、「任天堂では他にも多くのプロジェクトが進行していたので、カニエと何かに取り組むという可能性までは考えられませんでした」と明かしている。
「私はカニエに、次のように伝えました」とフィサメィ氏は続けている。「『カニエ、あなたは私たちと働きたいとは思わないでしょう。というのも、私たちは厳しく、(要求は)ハードなので。私たちは、あなたが働きたいと思うようなパートナーではないと思います』と。するとカニエは私のほうを見て、こう言ったのです。『レジー、だからこそ、あなたのようなパートナーと私は仕事をしたいのです』と。『参ったな』と思いましたね」とフィサメィ氏は当時を振り返り、最終的にはカニエに断りを入れたものの、簡単にはカニエを説得できなかったことを冗談まじりに明かした。
実は、カニエがゲーム業界に参入しようと試みたのはこの時が初めてではなく、2016年には『Only One』と題したゲームを開発していたものの、こちらも最終的には日の目を見ず。いつの日かカニエが制作したゲームを私たちがプレイできる日は来るのだろうか。(フロントロウ編集部)