テクノロジーによって故人とふたたび会話が出来る…?
アメリカの世界的テック企業マイクロソフトが、あるチャットボットの特許を申請したことが話題となっている。会話を行なうプログラムであるチャットボットは、すでに生活のなかに浸透しているけれど、一体なぜマイクロソフトのものは注目を集めたのか?
その理由は、そのチャットボットが、もうこの世にいない愛する人のような話し方をするから。
今回話題になっているシステムは、特定の人物の写真、音声データ、SNSの投稿、電子メッセージ、手書きの手紙などから情報を集めてその人の特徴をとらえたインデックスというものを作れるそうで、そのインデックスを応用すれば、その人の性格や特徴をチャットボットなどに取り入れられるという。さらには、写真や動画などのデータによって、2D、はたまた3Dモデルを作り出すことも可能であることも示唆されている。
“特定の人物”というのはかなり広範囲な意味を持ち、もちろん亡くなった人物だけが対象となるわけではない。「友人や親せき、知人、セレブリティ、フィクションのキャラクター、歴史的な人物、ランダムな人」から、さらには「自分自身」までが対象になり、自分の“デジタル版”を死ぬ前に作っておくことも可能。
このチャットボットは、アマゾンのアレクサやグーグルのNestなど、スマートスピーカーからもアクセス可能となるそう。
亡き人をデジタルで蘇らせることの賛否
このシステムは喜ばしいことだろうか? それとも恐怖だろうか? 英Mirrorのアンケートでは、このチャットシステムが良いアイディアだと答えた人は34%、良くないと答えた人は66%だった。
また、海外ドラマ好きなら、イギリスのドラマ『ブラック・ミラー』のシーズン2第1話が思い浮かんだ人もいるはず。愛する人がなくなった痛みからテクノロジーで相手を蘇らせてしまうものの、何かが違うと違和感を感じてしまう。そんな暗い状況は、誰にでも想像できる。
そして、亡くなった人をテクノロジーで蘇らせることは、たびたびその是非が議論になってきた。とくに2Dや3Dでその姿を蘇られせることは映像業界でも問題になっており、例えば映画『Finding Jack』にCGIで故ジェームズ・ディーンが出演すると発表された時には、クリス・エヴァンズが苦言を呈している。
一方で、例えばキム・カーダシアンの誕生日に夫のカニエ・ウェストがプレゼントしたのは、キムが22歳の時に死去した彼女の父親ロバート・カーダシアンのホログラム。キムは「天国からのサプライズ。私の父のホログラム。ものすごくリアル。何度も何度もこの映像を見た。その度に感情が込み上げてきた」とし、カニエに感謝していた。
テクノロジーの技術が加速度的に進むなか、それを使う人間側の資質が問われている。(フロントロウ編集部)