『羊たちの沈黙』のジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスが対談! 当時の撮影現場を振り返った。(フロントロウ編集部)

公開から30年が経った『羊たちの沈黙』

 1991年に公開された映画『羊たちの沈黙』でともに異彩を放ったジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスが、米Varietyの対談企画Actors on Actorsで再会!

 今年は、公開から30年となる年。2021年2月には、『羊たちの沈黙』の1年後である1993年を舞台に、クラリス・スターリングを主人公に描くドラマ『クラリス』の放送開始も予定されている。

 そんな年の初めに、ジョディとアンソニーが昔話に花を咲かせた。

ジョディにビビっていたアンソニー

 『羊たちの沈黙』が公開された当時、アンソニーは54歳、ジョディは29歳だったけれど、アンソニーによると、最初はジョディと話すことが怖かったそう。というのも、ジョディは1988年公開の映画『告発の行方』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したばかりだったから。

 さらにいえば、ジョディは1976年公開の映画『タクシードライバー』で子役でありながら様々な映画賞を受賞した経歴を持つ。アンソニーも、『冬のライオン』や『エレファント・マン』の名俳優として知られていたとはいえ、ジョディの存在に少し圧倒されていたのかもしれない。

レクター博士になったアンソニー

 しかし、演技派俳優としてのアンソニーの底知れぬ怖さは、現場で遺憾なく発揮されていたよう。彼が演じたハンニバル・レクター博士といえば、元精神科医であり猟奇殺人犯。作中ではボルティモア州立精神病院の監房に収監されている。

 そんなレクター博士という人物を自分の肌に取り込んでいったアンソニーは、撮影の合間に、なんと、1人のスタッフに嚙みついた! そこで彼が言った言葉は…。

 「私の監房で何をしているのかな?」

画像1: 映画『羊たちの沈黙』より。ⓒORION PICTURES / Album/Newscom

映画『羊たちの沈黙』より。ⓒORION PICTURES / Album/Newscom

 この行動をしたのは、アンソニーだったのか、レクター博士だったのか…。一部始終を目撃していたジョナサン・デミ監督は、ゾクゾクした様子だったという。しかし、彼の怪演はここで終わらない。

演技派俳優アンソニー・ホプキンスの底知れぬ怖さ

 『羊たちの沈黙』でジョディ演じるクラリスが初めてレクター博士に会いに行った時、博士は独房の中央に立ってこちらを見ていた。博士が中で立っているというのは、アンソニーの考えだという。アンソニーはデミ監督と打ち合わせをしていた時に、こう告げていた。

 「あそこに立っていたいね。彼女が廊下から来る匂いが分かるから」

画像2: 映画『羊たちの沈黙』より。ⓒORION PICTURES / Album/Newscom

映画『羊たちの沈黙』より。ⓒORION PICTURES / Album/Newscom

 撮影を通して才能が滲み出たアンソニーのことを、デミは「変な人だ」と言っていたそう。そしてアンソニーは、もちろん、その言葉を称賛として受け取ったという。

 この話を聞いてから『羊たちの沈黙』を見ると、アンソニー、そしてそんなレクター博士と対峙したジョディの演技力にハッとさせられる。そして『羊たちの沈黙』によって、アンソニーとジョディは第64回アカデミー賞主演男優賞と主演女優賞を、デミ監督は監督賞を、そして作品は作品賞を受賞し、その年のアカデミー賞を総なめにした。(フロントロウ編集部)

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