ラメは自然に還らない?
現在、地球規模で起きている海洋プラスチックによる「ごみ問題」。ペットボトルや食品トレーなどの包装容器を想像する人も多いかもしれないけれど、実は、さまざまなコスメに使われている「ラメ」も、環境への負荷が大きい物質だと言われている。
米コスメブランドAether Beautyの創業者で、Sephoraにてサステナビリティ研究開発部門の責任者を務めるティイラ・アビット氏は「従来のラメは、本質的にはマイクロプラスチック。これは信じられないほど小さなプラスチックで、環境に有害な影響を及ぼすことで知られている」 と米Coveteurでコメント。
アビット氏は「化粧品に含まれるこれらの微粒子は、私たちの排水溝から流れ、それぞれのろ過システムを容易に通過し、最終的には水路や海洋システムに到達するようになっている。つまり、ますます深刻化するマイクロプラスチックによる汚染問題に拍車をかけている」と説明。
さらに、環境への影響はここだけでは終わらない。アビット氏は「これらのマイクロプラスチックが分解されるまでには何千年もかかる。しかも、食べ物と間違えられやすく、魚、鳥、プランクトンに食べられ、(彼らの)肝臓を損傷し、行動に影響を与え、最終的には死に至らしめることもある」と話し、海洋生物や生態系への影響も懸念されているという。
そんな環境への影響を配慮をしつつ、キラキラ輝くラメを楽しむために開発されたのが、自然に分解される地球にやさしい「エコ・フレンドリーラメ」。近年、多くのコスメブランドが、このエコ・フレンドリーラメに切り替え始めているという。
エコ・フレンドリーラメとは?
エコ・フレンドリーラメとは、簡単に言えば、生分解性プラスチックで作られたラメ。生分解性プラスチックは、自然界にいる微生物の働きによって分子レベルまで分解され、最終的には二酸化炭素と水に変わるため、比較的に環境への負担が少ないとされている。
そんなエコ・フレンドリーラメは、大きく分けて植物由来のものと鉱物由来のものの2種類に分類される。
米スキンケアブランドRebrand Skincareの創設者で美容化学者のオーブリ・トンプソン氏は「植物由来のラメは、セルロースやその他の再生可能な原料から作られ、染料やコーティングを施してカラフルな効果を生み出しているもの」と説明。また、「ミネラル系のラメは、すでに虹色に輝いている雲母(マイカ)と呼ばれる種類の鉱物で、採掘したり研究室で合成したりすることができる」と話している。
しかし、従来のラメに代わるとされる「エコ・フレンドリーラメ」であっても、必ずしも全てのものが地球に優しいとは言い切れないという。
たとえば、植物由来で作られたラメであっても、着色やコーティングの過程で少量のプラスチックが加えられることが多く、完全に分解されるラメを作るためには、工業的な改革が必要だとトンプソン氏は指摘。
また、生分解性ラメを取り扱うブランドBioGlitzの最高コミュニケーション責任者のレベッカ・リチャーズ氏によると、あたかも環境に配慮しているかのように見せかけて、購入者に誤解を与える“グリーンウォッシュ”の被害も増えているとコメント。
リチャーズ氏は「残念ながら、生分解性ラメ(エコ・フレンドリーラメ)と謳っていながら、コストを削減するためにプラスチックを混ぜているという企業も少なくない」と指摘。そのため、エコ・フレンドリーラメを使いたい場合は、どんな素材が使われているのか十分に調べる必要があるとリチャード氏はアドバイスする。
メイクをキラキラと輝かせてくれるラメ。次世代に豊かな環境をつなぐためにも、自分がふだん愛用しているコスメに含まれているラメがどのように作られ、環境にどのように影響を与えるのか、一度考えてみる機会にしてみてもいいかも。(フロントロウ編集部)