2月6日は、女性性器切除(FGM)の根絶のための国際デー。考えただけでも恐ろしい女性性器切除を受けた女性は、2億人以上にのぼる。なぜ今でもFGMは続いているの?(フロントロウ編集部)

女性性器切除とは

 女性性器切除(FGM/female genital mutilation)は、アフリカや中東、アジアの国々など、世界約30ヵ国で行なわれているもの。文字通り、女性の性器を一部切除するもので、女性の権利を著しく侵害するものとして、根絶のために多くの人々や団体が動いている。

 女性性器切除で切除される箇所はいくつかあり、WHO(世界保健機関)によって、4つのタイプに分けられている。

なぜ女性性器切除は行なわれるのか

 人権NGOであるHuman Rights Watchによると、女性性器切除を行なうコミュニティが理由としてあげるのは、「文化/伝統だから」というものが多いという。

 また、こういった行為を行う社会は、女性に“純粋さ”や性的欲求がないことを要求するものが多く、女性の“処女性”を守り、“ふしだらな行為”を防ぐために、少女たちの性的欲求を外部が早くからコントロールしなければならないと考えられている場合も多い。

画像: なぜ女性性器切除は行なわれるのか

 一部コミュニティでは婚外交渉を防ぐ目的で行なわれたり、女性性器切除を受けていなければ結婚できないとされるために行なわれたりもしている。

女性性器切除は健康を害する

 WHOは、女性性器切除による健康上のメリットは一切ないと指摘している。さらに女性性器切除は、医療的知識のない人物がカミソリなどを使って、麻酔なしで行なうこともあり、切除を受けた女性は、強い恐怖のトラウマ、長引く出血や感染症、生理痛、不妊、出産時合併症、そして死のリスクに直面することになる。

 ユニセフによると、これまでにこの切除をされた女性の数は2億人以上にのぼる。例えばソマリアでは、5歳から11歳の少女のうち98%が、スーダンでは、15歳から49歳までの女性のうち87%が、切除をされている。

 また、新型コロナウイルスの影響で少女たちが家にいることが多くなったことで、切除が行なわれる件数が増加していると報告されている。

画像: 女性性器切除は健康を害する

女性性器切除はSDGsの重要な課題

 2030年までに達成することを目指す世界目標のSDGs(持続可能な開発目標)は、その5番目に、「ジェンダー平等を実現しよう」と掲げている。その中にさらに9つの目標があり、とくに女性性器切除に関連するのは以下のようなものがある。

5-1. あらゆる場所における全ての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5-3. 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。
5-6. 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、並びにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
5c. ジェンダー平等の促進、並びに全ての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。

 また、SDGsの3番目の目標である「すべての人に健康と福祉を」や、16番目の目標である「平和と公正をすべての人に」も、女性性器切除に関連すると言える。

 女性性器切除を禁止する法律は、実施国でも着々と設けられている。例えばスーダンは、2020年についに女性性器切除を禁止した。一方で、法律が出来ても、各コミュニティが続けることは懸念されている。

 女性性器切除は文化であるという意識を持つ人も多いため、法改正などの対応だけでなく、子供や母親へ教育の機会を増やす活動など、様々なアプローチが取られている。(フロントロウ編集部)

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