トム・ホランド、『スター・ウォーズ』のオーディションに落ちていた
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)映画でスパイダーマンことピーター・パーカーを演じ、一躍その名が世界中に知れ渡ったイギリス出身の俳優トム・ホランド。
映画やドラマの作り手や作品を観る人の心をがっちりと掴んで離さない、歴然としたスター性と確かな演技力を持つトムだけれど、現在の地位に到達するまでには紆余曲折があった。
ハリウッドで成功を目指すほかの役者たちと同様、数々のオーディションを受けてきたトム。
残念ながらキャスティングされなかった役のなかには、言わずと知れたSF超大作『スター・ウォーズ』シリーズの続3部作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』で、同じくイギリス出身の俳優ジョン・ボイエガが演じた“フィン”も含まれていた。
オーディションでの面白すぎる「落とし穴」
『スター・ウォーズ』オーディションの四次か五次審査くらいまでは残ったというトム。
米Backstageとのインタビューで、当日の様子を振り返り、じつは、セリフ読みをする大事な局面で、彼らしいといえば彼らしい、大失敗をしてしまったことを告白。
それは、ドロイド(ロボット)役を演じていた女性スタッフの奮闘ぶりに笑いが止まらなくなり、平静を保てなくなってしまったという痛恨のハプニング!
「あるシーンで、女性がドロイドの役をやってくれていて、僕は、『みんな、宇宙船に戻るんだ!』みたいな感じで演技してた。そしたら彼女が『ピー、ピポピポー、ピポピポピー…』って返してきたんだ。ただただ笑いが止まらなくて、もう本当にツボっちゃってさ」。
どういった役職かは不明だが、プロの役者ではない女性がドロイド役に超真剣に取り組んでいるという、ひたむきさと気の毒さが、あまりにもシュールすぎて笑いのループから抜け出せなかったというトム。
彼はこれがオーディションに落ちた敗因だと考えているようで、「あれは失敗だったな」とこぼしていた。
笑い上戸なトムでなくとも、超真剣にドロイドになりきろうとしている女性を目の当たりにしたら、誰でもクスッときてしまうかもしれない。そんな“笑ってはいけない”場面を無事乗り越えて、見事フィン役を手にしたジョンはあっぱれ。
コメディアンの父からもらった尊いアドバイス
『スター・ウォーズ』シリーズのほかにも、いくつものオーディションに落ちたことがあるというトム。なかでも、彼の役者人生の転機となったのは、2017年に米公開された映画『クリミナル・タウン』の主役を逃したことだったという。
ティーンエイジャーを主役に描いた同名小説を原作とする青春サスペンス映画『クリミナル・タウン』には、映画『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴートと映画『ミスエデュケーション』のクロエ・グレース・モレッツが主演した。
同作への出演が俳優としてステップアップする絶好のチャンスだと信じていたトム。かなり良いところまで残りながらも、オーディションに落選してしまったことで、ひどく落ち込み、怒りを感じたそう。
そんな時、トムに声をかけたのが、地元イギリスでコメディアンや作家として活躍する父のドミニクで、拒絶された時には、どう対処したらいいか熱心に諭してくれたという。
「父さんは、キャリアにおいて、ずっと拒絶と向き合ってきたんだ。すごく親切に、こう言ってくれた。『息子よ、それ(拒絶も)もまた成功の一部なんだ。毎回毎回勝っていたら、勝つことが負けることと同じになってしまうかもしれない』と。たとえば、ゴルフだったら、毎日フォーアンダーを打ち続けたら、つまらなくなってしまう。勝利を味わうには、負けることが必要なんだ」
芸の道を歩んできた父からのアドバイスを胸に、負けることも楽しみながら邁進した結果が今日のトムにつながっている。
トムが出演する『スター・ウォーズ』続3部作や『クリミナル・タウン』も観てみたかったけれど、もしも彼がそれらの作品にキャスティングされていたら、『スパイダーマン』や『アベンジャーズ』シリーズといったMCU作品には出演しなかった可能性だってあったかもしれない。
ちなみに、トムは、『スター・ウォーズ』続3部作でレイを演じた俳優のデイジー・リドリーと日本でも4月に公開される最新SF映画『カオス・ウォーキング』で共演。不思議な巡り合わせを感じる。
(フロントロウ編集部)