ジョニーについて聞かれ続けるマッツ
自身を「妻を虐待する者」と呼んだ英タブロイド紙を訴えた名誉棄損裁判で敗訴したことがきっかけで、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズの過去2作で演じた闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルド役を降板したジョニー・デップ。
その代役として白羽の矢が立ったのが、ドラマ『ハンニバル』や映画『007/カジノ・ロワイヤル』などでの怪演で知られ、主演映画『Another Round(アナザー・ラウンド)』が
第78回ゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞にノミネートされ、第93回アカデミー賞の外国語映画賞のショートリストに選出されているデンマーク出身のマッツ・ミケルセン。
実質、スタジオ側からの解雇となったジョニーの降板劇が世間に大きな衝撃を与えたことを受け、グリンデルバルト役を引き継いだマッツは、これまでにも何度もジョニーから役を引き継いだ感想や仕事を引き受けた理由、どんな心持ちで撮影に臨むのかなどをさまざまなメディアとのインタビューで聞かれてきた。
そのたびに、ジョニーを気遣い、敬意を感じさせるコメントをしてきたマッツだが、新たに応じた米ウォール・ストリート・ジャーナル(以下WSJ)とのインタビューで、改めてジョニーからグリンデルバルト役を継承した心境や、役者としての美学を語った。
ジョニーをマネしたら「クリエイティブの自殺」
2020年12月からイギリス・ロンドンで行なわれている『ファンタスティック・ビースト』シリーズの第3作目の撮影に合流したマッツ。
撮影に入る前には、「ジョニーがやってきたことと、僕がやっていくことの間に“架け橋”が無くてはいけないんだ。それと同時に、(役を)自分のものにしなくちゃならない。でも、ジョニーがこれまで巧みに築き上げてきたものと完全にかけ離れてしまわないように、いくつかの繋がりや架け橋はないといけないよね」と米Entertainment Weeklyに話していたけれど、実際にグリンデルバルドを実際に演じてみて、「まったく窮屈には感じないよ」と、自分らしくのびのびと役に命を吹き込むことができていると話した。
しかし、ジョニーのことが完全に頭にないわけではないようで、「ジョニーのマネをしようとしたら、それはクリエイティブの自殺だと思うんだ」と独特の表現で“自己流”を模索したことを告白。
「彼は誰にもマネすることができない、すばらしい役者だからね。彼みたいになろうとするなんていうのは正気じゃないよ」と、ジョニーを唯一無二の存在だと高く評価しながら、「だから、僕は自分のやり方を見つけた」と続けた。
「悪めの役」ならお任せあれ
これまでにも、さまざまな難役を自分のモノにしてきたマッツ。『ファンタスティック・ビースト』シリーズで演じるグリンデルバルト役も然り、ダークで怪しげで、魔法の力を持っていたりするキャラクターを多く演じてきたけれど、自分がそういった役にタイプキャスト(※)されがちだということは、自負しているよう。
※人物の風貌や演技イメージの固定化による類型的なキャスティング
欧米で3月に公開される、MCU映画『スパイダーマン』シリーズのトム・ホランドや映画『スター・ウォーズ』シリーズのデイジー・リドリーと共演したSF映画カオス・ウォーキング』でも悪役を演じている。
マッツは「僕はどうも、悪いヤツを演じてきた傾向にあるよね。しかも、ファンタスティックな映画でファンタスティックな悪いヤツを演じることが多い」と、ハリウッド映画ではとくにその傾向が強いとWSJにコメント。
「そういうことなら、もうやるっきゃないよね!」と、嫌そうな気配を微塵も見せず、“どんと来い”と言わんばかりに気さくに語っていた。(フロントロウ編集部)