『ジョン・ウィック』の衣装
現在までに3作が公開されている『ジョン・ウィック』シリーズは、その人気から、すでに5作目までの制作が決定しており、さらに複数のスピンオフ作品のプロジェクトも進んでいる。
主演のキアヌ・リーブスは、これまでに数多くの有名作品に出演してきたけれど、『ジョン・ウィック』シリーズも彼の代表作の1つとなった。アクションシーンはもちろんのこと、様々な殺しが実行される各シーンの構図など、その映像も高い人気を誇るシリーズでは、衣装に惹かれたファンもいるだろう。
じつは、『ジョン・ウィック:チャプター2』に登場したジョンのスーツの仕立て屋は、なんと、実際に作品の衣装を手掛けてきたルカ・モスカその人! チャド・スタエルスキ監督に言われてカメオ出演したのだそう。
アクション映画でスーツを準備する大変さ
『ジョン・ウィック』シリーズの衣装といえば、キアヌの着こなしはもちろんのこと、例えばリッカルド・スカマルチョが演じたサンティーノ・ダントニオが足早に歩く時に美しく揺れるジャケットの裾や、ルビー・ローズが演じたアレスの体型に合ったスーツなど、その仕立ての良さは明白であり、印象的。
そんな衣装を手掛けたルカが米The Daily Dotのインタビューで明かしたところによると、その衣装のために、「肩やズボンの形を完璧にするために数えきれないほどのフィッティングをし、ミリ単位で細さを決めた」という。
スーツの仕立てはかなり繊細なことで有名だけれど、『ジョン・ウィック』はご存知のとおりアクションシーン満載の殺し屋の映画。その撮影のために、ルカは様々な種類のスーツを十分な数だけ準備したという。
「俳優が清潔なスーツで演技を始め、その後小さなシミがこっちに出来たり、裂け目や弾痕があっちに出来たりするのを見たのなら、それは私たちが本当に大量のスーツを準備していたということです。俳優のサイズに合わせたものもありますし、(アクションのための)膝パッドやひじ当て、または、動きやすいように脇やズボンの股に入れるマチなどのために少し大きめに作ったものもありました。そしてスタントダブルたちもいましたから、終わりが見えないほどの数のスーツを用意しましたね。スーツは着倒され、ドロに汚れるか、裂けるかでしたから」
ミリ単位の細かさでデザインしたスーツは1着完成させるだけでも時間がかかる。さらにそれを用途に合わせて修正し、俳優の数だけフィッティングと制作を行ない、しかもアクションの撮影に対応できるのに十分な枚数を用意する…。
かなり気が遠くなる仕事をやりきったルカは、シリーズの大ヒットや、衣装が評価されていることには誇りを持っていることは間違いない。とはいえルカによると、『ジョン・ウィック:チャプター2』で嬉しかったのは自分の出演シーンだそうで、「あれが映画のハイライトでしたよ。少なくとも私にとっては!」とのこと。(フロントロウ編集部)