MCU史上初となるアジア系ヒーローを描く映画『シャン・チー・アンド・ザ・レジェンド・オブ・ザ・テン・リングス』の主演俳優シム・リウが、欧米で増加傾向にあるアジア系への人種差別やヘイトクライムへの率直な思いを語った。(フロントロウ編集部)

欧米でアジア系に対するヘイト犯罪が急増

 全世界で250万人超が亡くなっている新型コロナウイルスの最初の感染者が確認されたのが中国だたったことが原因で、1年前ほど前からアメリカをはじめとする欧米諸国でアジア系を標的にした嫌がらせや暴行事件などのヘイトクライムが急増している。

画像: 欧米でアジア系に対するヘイト犯罪が急増

 コロナ前から人種差別や外国人嫌悪(ゼノフォビア)の問題は存在したが、コロナ禍でアジア系の人々にあからさまに敵意を示したり、暴力行為に及んだりする輩が目立つように。また、アメリカだけでなく、フランスなどのヨーロッパの国々でもアジア系に対する差別が増加傾向にあり、市民に差別行為や攻撃を促す内容の投稿がSNS上で拡散されているのが確認されたこともある。

シム・リウがアジア系への人種差別に声をあげる

 そんななかマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)史上初となるアジア系ヒーローを描く映画『シャン・チー・アンド・ザ・レジェンド・オブ・ザ・テン・リングス(原題)』で主演を務める俳優のシム・リウが、米Varietyのインタビューでアジア系への人種差別や増加するヘイトクライムに声をあげた。

画像: シム・リウがアジア系への人種差別に声をあげる

 シムは「最近は両親のことが心配でなりません。以前はその逆で、私が実家に帰るといつも何かと小言を言われていたのですが、今では逆に私が心配しています。『朝の散歩をしていたタイ系アメリカ人の男性に何が起こったか知ってる?外で何が起こっているか知ってる?人に近づちゃダメだよ』と言っています」と離れて暮らす両親のことを心配していると明かすと、続けてこう語った。

 「私が両親の身の安全を心配する理由はウイルスにあります。そのウイルスは恐らくあなたが考えているものとは違います。(自分が言うウイルスとは)この1年間で驚くべき速さで発生しているアジア系に対するヘイトクライムのことです。アジア系アメリカ人に対する暴力行為を追跡しているウェブサイト『Stop AAPI Hate』によると、昨年3月19日から12月31日までのあいだに、人種差別や差別を受けたケースが2,800件以上報告されています」

 さらに、「人種差別は必ずしも“あからさまな形”で現れるとはかぎりません。それほど単純なものではありません」と言うと、「被害にあったアジア系のお年寄りの写真を見ていると、自分の両親のこれまでの歩みを思い出します。彼らの夢と苦悩、悲しみ、そして揺るぎない楽観主義を」と付け加えた。(フロントロウ編集部)

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