ローマカトリック教会が同性婚への祝福にコメント
同性婚の合法化が各国で進み、アメリカやドイツなどでは同性愛者の信者を祝福する教会が出てきていると米ロイター通信が報じるなか、ローマカトリック教会が、結婚した同性カップルに教会として祝福を与えられるかという質問に答えた。
「教会は、同性同士の結婚に祝福を与える力を持っているのでしょうか?」という質問に対する教会の答えは、否定を意味する「Negative」。神が「罪を祝福」するのは「不可能」だとした。
教理省(CDF)のサイトに掲載された今回のメッセージは、2020年10月にドキュメンタリーの中で同性愛者も「神の子」だとして、婚姻関係に準じた権利を認めるシビル・ユニオンを与えて法的に保護するべきだと表明したローマ教皇フランシスコの承認を受けているという。
CDFはメッセージの中で、2016年に教皇フランシスコが語った「神による結婚と家族の計画に同性間の結婚が何らかの形で類似していると考える根拠は全くない」という言葉を繰り返したうえで、これは「不当な差別を意図したものではなく、むしろ典礼儀式の真実を思い出させるものである」とした。
LGBTQ+セレブたちがカトリック教会の発表に反応
SNSではローマカトリック教会のこの発表に大きな反応があり、失望する声の中には、LGBTQ+である俳優やアーティストも含まれた。
ドラマ『シッツ・クリーク』のダン・レヴィは、「これは恥ずべきことであり、危険なことであり、(彼らにとって)恥ずかしいことです。言うまでもなく、偽善的」とツイート。一方でドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』に出演するコメディアンのビリー・アイクナーは、「教皇を怒らせるためだけに結婚しようよ!」と、ジョーク混じりにダンにプロポーズをした。
This is shameful, dangerous, and embarrassing (for them). Not to mention
— dan levy (@danjlevy) March 15, 2021
t h e h y p o c r i s y . . . https://t.co/E6z9tyredO
Let’s get married just to make the Pope angry!
— billy eichner (@billyeichner) March 15, 2021
エミー賞受賞俳優である、コメディドラマ『モダン・ファミリー』のジェシー・タイラー・ファーガソンは、2013年に米ニューヨーク州で結婚して一緒に子供を育てる夫のジャスティン・ミキタと写る写真をツイッターに投稿して、「カトリック系の高校を卒業した私としては、この古臭いレトリックに深い悲しみを覚えると同時に、全く驚きを感じません。良いニュースなのは、私は今でも幸せな結婚生活を送っており、家族の中に存在する愛をローマ法王に認めてもらう必要がないことです」とコメント。
As a graduate of a catholic high school, I am deeply saddened by this archaic rhetoric and not at all surprised.
— Jesse Tyler Ferguson (he/him/his) (@jessetyler) March 15, 2021
The good news? I’m still happily married & I don’t need the Pope to acknowledge the love that exists in my family. � https://t.co/eWNBtOS8mC pic.twitter.com/KqRHCuDGi0
元フィフス・ハーモニーのメンバーであるシンガーのローレン・ハウレギは、「でも自分たちが子供を性的虐待するのはいいんだね…でしょうね」と、カトリック教会の司祭による未成年への性的虐待スキャンダルに触れてツイート。
But it’s cool for them to molest children....bet https://t.co/o48fpBInfo
— Lauren Jauregui (@LaurenJauregui) March 15, 2021
カトリック教会の性的虐待スキャンダルが再炎上
ローレンがツイートで触れたように、今回の発表は、カトリック教会での長年にわたる未成年者への性的虐待スキャンダルを再炎上させている。
ミーガン・ハント米議員は、「カトリック教会は何世代にもわたって小児性愛者の神父を保護してきました。だから、これは誰もが真剣に受け止めなければならない法令ではありません。もしあなたに信仰する宗教があるならば、あなたの信仰はあなたとあなたの創造主との間のものです。あなたの人間性を否定する立場にある人間はいません」とツイート。
俳優のアダム・ベストは、「その歴史を考えれば、カトリック教会は何が適切な性的関係なのかについて意見を述べることはやめておいた方がいいでしょう」と投稿。
さらに、カトリック教会が同性愛を「罪(sin)」と呼んだことに対しては、俳優のクリステン・ジョンストンが「私が考えられる最悪の罪は、司祭が若い男の子たちを性的に虐待して、教会が一丸となってそれを隠蔽すること」と、ライターのスティーヴ・シルバーマンは「世界的な小児愛好者の隠蔽ネットワークが“罪”だから同性婚を祝福できないって言っている」とツイート。
今回の発表に対して、LGBTQ+を中心としたカトリックの牧師による団体New Ways Ministryの代表は米USA Todayに、「バチカンが気づいていないのは、カトリック信者がその答えに満足していないということです。カトリックの人々は、献身的な同性カップルの愛の神聖さを認識しており、この愛は神に触発され、神に支えられたものであると認識しているため、(同性婚は)祝福される基準を満たしているのです」と声明を出した。(フロントロウ編集部)
※ジェシー・タイラー・ファーガソンの夫の名前が間違っていたため修正しました。