エルメスがレザーの代わりに使うのはキノコ
バーキンをはじめ、ケリー、ガーデンパーティー、エブリン、ピコタンなど、数々の名作を生み出し、世界中の人に愛されているエルメス(Hermès)。とくにカイリー・ジェンナーをはじめ、ビヨンセやキム・カーダシアン、レディー・ガガ、ヴィクトリア・ベッカムなどが愛用するバーキンは、なかなか手に入らないことが有名で、持つことがステータスとも言われるバッグ。
そんな数々の名作バッグは、レザーで作られていることが多いけれど、エルメスがサステナビリティを高めるためにレザーの代用として使うことを発表したのは、なんとキノコ。エルメスはジョン・レジェンドやナタリー・ポートマンが出資する、菌類から持続可能な製品を生み出す若手企業MycoWorksとタッグを組んでおり、レザーのような見た目と手触りがあるシルバニアという素材を開発。2021年末までには、旅行用として人気を博すヴィクトリアというバッグにレザーの代用としてシルバニアが使われるという。
ここ数年、ファッション界はサステナブル志向にシフトチェンジしており、各ブランドがヴィーガンレザーやフェイクファーを使うなど試行錯誤するなか、老舗ブランドのエルメスもその波に乗ることに。牛皮のバッグを作るために必要な牛は、メタンガスの排出量が多く、気候変動を加速させると言われているほか、皮のなめしや染めることには水路を汚染する化学物質が使われることがあるが、今回のようなキノコの菌糸体で作るバッグは環境への負担も少ない。また、動物愛護の観点からも動物の皮の代わりとなる素材の使用は推奨されている。
キノコを原料としたフェイクレザーを使うのはエルメスだけではない。長年サステナブルブランドとして名を馳せてきたステラ・マッカートニー(Stella McCartney)もマッシュルームレザーを使用することを発表。
ファッション界でもトップクラスのエルメスが、キノコでできたフェイクレザーを使ったバッグを発表するということは、業界にとってもかなり大きなこと。環境と共に生きるというファッション界の熱意が見えた瞬間でもあった。(フロントロウ編集部)