ジェイ・レノ、アジア系へのヘイトクライム多発する中で発言
アメリカではテレビの殿堂入りしている大物である、トーク番組『ザ・トゥナイト・ショー』や『ザ・ジェイ・レノ・ショー』で知られるジェイ・レノ。彼は人種にまつわるステレオタイプをたびたびネタにしており、過去には、アジア系にまつわるジョークが差別的だとして批判されたことも。
映像界でのアジア系の適切なレプリゼンテーションを求める活動をしているMedia Action Network for Asian Americans(MANAA)からたびたびクレームを受けてきた彼が、今回、そのMANAAの代表のガイ・アオキと対話。アメリカでアジア系アメリカ人へのヘイトクライムが頻発しているなか、アオキ氏との連名のプレスリリースで、自身がこれまでに発してきたアジア系をネタにしたジョークを謝罪した。
「謝罪したいと思います。これはキャンセル・カルチャーの一例などではなく、自分が犯した正当な過ちだと考えています」としたジェイは、2019年にオーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』で“コリアンは犬を食べる”というステレオタイプをネタにして批判されたことに触れてこう発言。
「このようなジョークを言っていた時、誰かを傷つけるものではないと心の底から思っていました。敵国である北朝鮮を揶揄していたのですが、多くのジョークがそうであるように、そこにはどこか真実味を帯びている感じがありました。
当時は、文句を言ってくるグループが必ずいるから気にしないでおこうという風潮がありました。そして苦情が来た時には、その都度、賛否両論が出ていました。『これは何とかしないといけない』という意見と、『冗談が通じない奴らなんだから放っておこう』という意見です。私は、心の中では間違っていると思っていても、あまりにも多くの場面で、後者についてしまっていました」
ジェイと対話をしたMANAAはジェイのこの謝罪を受け入れて前進することにしたそうで、ジェイは、「アジア系アメリカ人のコミュニティも同様に(謝罪を)受け入れてくれることを願い、今後はその期待に応えていきたいと思っています」と、これからは行動で示していくとした。
“ただのジョークでしょ”と思う人もいるかもしれないけれど、日々の中の小さな言動の積み重ねがそれをノーマライズ(標準化)させていく。ジェイのようにテレビという巨大なプラットフォームで発言する人ならばなおさらその影響力は大きい。ジェイの声明を掲載した米Varietyで『アメリカにおけるアジア人に対する暴力にハリウッドがどのように加担しているか』という記事を執筆したライターのキャロライン・ダーヤ・フラムクは、「ハリウッドは、特にアジア人女性とセックスワーカーに関して、反アジア的なゴミを蔓延させてきた自らの役割を精査する時期に来ています。アジア人女性やセックスワーカーに対する反感は、品位を落とすものであり、非常に危険です。また、あまりにも多くの人が『ただのジョークだ』という言葉の陰に隠れてしまっています」とSNSで声をあげた。(フロントロウ編集部)