※この記事にはアメリカ版『バチェラー』シーズン23のネタバレが含まれます。
『バチェラー』出演男性が同性愛をカミングアウト
『バチェラー(The Bachelor)』は、主役であるセレブな独身男性「バチェラー」の交際相手の座をめぐって数十人の女性たちが自分の魅力をアピールし、愛を勝ち取るまでを追う恋愛リアリティ番組。
2002年にファーストシーズンが放送された国民的人気の同番組は、現在シーズン25までが放送され、女性を主役とした男女逆転版の『バチェロレッテ(The Bachelorette)』も現時点で計17シーズンが制作。日本では、Amazonプライム・ビデオにて日本版の『バチェラー・ジャパン』も配信されている。
元NFL選手のコルトン・アンダーウッドは米ABCで2018年に放送された『バチェロレッテ』のシーズン14に独身女性のベッカ・クフリンを奪い合う男性出演者の1人として出演。いい線まで残り、視聴者人気も高かったコルトンは、その後、2019年に放送された『バチェラー』のシーズン23で主役となり、女性参加者のキャシー・ランドルフとハッピーエンドを迎えた。
そんなコルトンが、米現地時間の4月14日に放送された朝の情報番組『グッド・モーニング・アメリカ』に出演し、ゲイであることをカミングアウト。
これまで女性を恋愛対象としているとして恋愛リアリティ番組に出演し、数々の女性たちとのロマンスが報じられてきたコルトンの突然の告白に世間には衝撃が走っている。
ようやく自分のセクシュアリティを受け入れることができた
『グッド・モーニング・アメリカ』でのインタビューで自身の性的指向(セクシュアリティ)に言及したコルトンは、「過去1年は多くの人たちにとってたくさんの事が起きた年だったでしょう。多くの人々が自分を見つめ直し、自分が誰なのかについて考えたと思います」と前置きしたうえで、「僕は長い間、自分から逃げてきました。長い間、自分の事が嫌いでした。僕はゲイです。そのことを今年の初めにようやく受け入れることができました。そして次に踏み出すべきステップは、みなさんに伝えることだと思いました。僕は今、これまでの人生で一番幸せで健康です。これは僕にとってかけがえのない事です」とコメントした。
コルトンは、カミングアウトを決意するまでには、かなりの葛藤があり、自身がゲイであるということを受け入れるまでに、自殺を考えたこともあったことも告白。
「私生活において、ダークで悪い状況に陥りました。その原因については、いくつもの理由を挙げることができるけれど、そのどれもが単なる言い訳にしかすぎません」「自分がゲイだと公表するくらいなら、死んだ方がマシだと思ったこともありました。でも、それこそが自分にとっての警鐘となったのです」と語り、「もう目覚めることができなくてもいい」と思った朝があったことや、車で崖の寸前まで近づいて「(崖から落ちてしまっても)大したことじゃない」と命を失っても構わないと思った日々があったほど悩んでいたことを明かした。
『バチェラー』の出演者や視聴者に対して思うこと
『バチェラー』や『バチェロレッテ』の女性出演たちのほかにも、体操選手で金メダリストのアリー・レイズマンと交際したり、ドラマ『ケイティ・キーン』に主演する女優のルーシー・へイルとの交際がウワサされたりしたこともあったコルトン。
『バチェロレッテ』のあるエピソードで性経験が無いことを明かしていた彼は、『バチェラー』シーズン23の主役に抜擢された際、同シリーズ初となる童貞のバチェラーということで注目を集めた。
『バチェラー』シーズン23では、最終的にキャシーと結ばれたコルトンだが、結局彼女とは婚約はせず、2020年の3月に破局。2人の別れは決して友好的なものだったとは言えず、キャシーがコルトンをストーキングやハラスメントで訴え、接近禁止令を取得するという泥沼の終幕を見せた。
『バチェラー』を通して、自身と女性たちとの恋愛を見守った視聴者たちに対して、何か伝えたいことはあるかと『グッド・モーニング・アメリカ』のインタビューで尋ねられたコルトンは、次のようにコメントしている。
「『バチェラー』に出たことや、自分がどう対処したかについて後悔しているかって? はい、後悔しています。もっと適切な対応の仕方があったはずです。自分のアイデンティティを模索するうえで引き起こしてしまった混乱に人々を巻き込むべきではありませんでした。心から反省しています。傷つけてしまったすべての女性たちには、もちろん『ごめんなさい』と謝りたいですが、それと同時に『ありがとう』と言いたい。だって、彼女たちなしでは、『バチェラー』に出演しなければ、僕は今、こうしてカミングアウトすることなどできたかどうかわかりませんから」。
さらに、コルトンは泥沼破局を迎えたキャシーに対しても、「あんな終わり方になってしまって申し訳なかったと伝えたい。僕は失敗をおかしてしまいました。誤った選択をしてしまいました」とメッセージ。
彼女のことは本当に愛していたとしながらも、「だからこそ、いろんなことが困難になり、混乱してしまいました。本音を言うと、彼女のことは大好きでした。でも、自分が彼女との関係で抱いていた感情を正確に説明するのは難しかった。僕の中では(セクシュアリティに関する)内なる葛藤が起こっていましたから。彼女には心の底から謝りたい。僕が与えてしまった痛みや精神的なストレスについて本当に申し訳なく思っています」と続けた。
コルトンのカミングアウトを受け、『バチェラー』『バチェロレッテ』シリーズのプロデューサーたちが米Just Jaredを通じて声明を発表。コルトンの「LGBTQIA+コミュニティでの旅の一歩一歩を祝福します」と応援のコメントを寄せている。(フロントロウ編集部)