黒人男性が警察官に銃殺される事件が発生
現地時間4月11日、アメリカのミネソタ州ブルックリンセンターで、黒人男性のダンテ・ライト氏(享年20)が警察官に銃殺される事件が発生した。ライト氏はこの日、期限が切れた登録証をつけて運転していたところを警察官に止められ、職務質問を受けた。その後、警察官がライト氏に既に逮捕令状が出ていたことを知り、ライト氏を拘束しようと試みたところ、誤って銃を撃ってしまったという。
ライト氏を銃で撃ったのは、事件後に責任をとって警察官を辞任したキム・ポッター容疑者で、翌4月12日に報道陣に公開された監視カメラの映像には、ポッター容疑者が「(スタンガンの一種である)テーザー銃だよ!」と声をあげながら、ライト氏を実際の拳銃で撃ち、「彼を撃っちゃった」と話す声が収められている。その後、ライト氏は駆けつけた警察や救急隊によって、その場で死亡が確認された。ポッター容疑者は米現地時間4月14日に勾留され、第2級殺人容疑を言い渡された。
マドンナが銃規制を呼びかけ
2020年5月には、黒人男性のジョージ・フロイド氏が警察官に首を抑えられて亡くなるという悲劇的な事件が発生し、「黒人の命も大切」を呼びかけるブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)運動が再活性化。同年には、フロイド氏だけでなく、3月にはケンタッキー州ルイビルで救急救命士として勤務していた26歳の黒人女性であるブリオナ・テイラー氏が、別の容疑者と取り違えられ、就寝中に警察官に射殺されるという事件が発生。
そのような状況のなかで、再び黒人が警察官によって殺害されるという事件が起きたことを受けて、シンガーのマドンナが、インスタグラムで銃規制を呼びかけ。銃による犯罪事件を調査している「Gun Violence Archive」が発表した、2021年に入ってから既にアメリカで130件の銃乱射件が起きているというデータを引用しながら、マドンナは次のように綴った。
「これまでにアメリカで130件以上の銃乱射事件が起きてる。まだ4月になったばかりだというのに。この悲劇をさらに悲劇的にしているのは、解決策があるということ。銃規制というね! 目を覚ましてよ、アメリカ! 歴史は何度も繰り返している」
銃所持賛成派からのコメントに徹底反論
マドンナの投稿には、銃規制支持派と、不支持派の双方からコメントが寄せられることとなり、銃所持に賛成するある女性は、「あなたやあなたのご家族は、銃を携帯した人たちに守られているのだと思います」と、セレブであるマドンナはきっと武装したセキュリティに守られているはずと推測しながら、「ですが、武器を取り上げて良い人たちなどほとんどいません。たとえ銃を取り上げたとしても、犯罪者たちは武器を見つけ続けるでしょう。残された私たちのような無実な人々は、被害者となってしまうのです」とコメント。
「あなたは高い壁に囲まれ、守られながら生活を送っています。あなたは現実のリアルな世界に暮らしていないのです。犯罪者たちは警察も、判事も、監獄をも恐れません。ですが、私たちが社会として武器を携帯していれば、犯罪者たちは被害者を恐れることになるでしょう」と続けて綴り、マドンナは一般的な市民とは異なる“安全な生活”を送っているはずと指摘した上で、自分たちを犯罪者から守るためには銃を携帯する必要があると述べた。
HELP pic.twitter.com/9IphcucDoV
— joe (@discocontrol) April 13, 2021
マドンナは女性からのコメントに、「まったく、私の周囲にはセキュリティもいなければ、武装したボディガードだっていないよ。私に会いにきて、私の生活がどれだけリアルじゃないのか、面と向かって言ってみなさいよ。かかってきなさい。あなたは私のことも、私の生活のこともちっとも知りやしない」と強い言葉で反論し、自分はセキュリティには守られていないと返答。
「私に見えている唯一の犯罪者は、人々を守るために雇用されている警察たちだよ。警察たちは、判事や刑事司法制度によって守られている。笑えてくるよね。だって、有色人種の人たちには正義なんて存在しないのだから」と続け、犯罪者よりもまずは警察のあり方を見直すべきだと主張した。
マドンナは昨年、ジョージ・フロイド氏が殺害された時にも、インスタグラムで「こういうことは終わりにしなければいけない!アメリカで人種差別がなくなるまでは、誰も銃を携帯すべきじゃない。ほとんどの警察官だってそれは同じ」とコメントして、銃社会や警察への疑問を投げかけていた。(フロントロウ編集部)