25年前に公開された『ミッション:インポッシブル』
現在までに6作品が公開された人気シリーズであり、7作目と8作目は2部作になる映画『ミッション:インポッシブル』は、1996年に公開された記念すべき第1作目から始まった。
主人公のイーサン・ハントを演じるトム・クルーズは、『ミッション:インポッシブル』によってアクション俳優としての地位を不動のものにしたと言える。そんな1作目の名シーンと言えば、やっぱり宙づりのシーン。
CIA本部に侵入したイーサンは、ジャン・レノ演じるクリーガーが持つロープにつり下がりながら、コンピューターからデータをコピーする。しかしクリーガーがロープから一瞬手を離してしまい、イーサンは落下。床から数センチという間一髪のところで、体勢を保つ。
世界中の多くの人が真似した映画史に残る名シーンだけれど、その撮影はかなり大変だったよう。
『ミッション:インポッシブル』名シーンの撮影秘話とは?
「僕たちには時間がなかった。そして僕は顔をぶつけ続けて、撮影は上手くいかなかった」と、公開25周年記念のインタビューで振り返るトム。床から数センチのところで止めるというのは難しいことは想像できるけれど、何度も顔をぶつけていたほどとは。
そこでトムは、ある対策を取ったという。それは、靴のなかにイギリスの硬貨を入れてバランスを取るというもの。そしてその作戦は功を奏した。
「床に向かって落下して、そして(床に)触れなかった。『オーマイゴッド。触れなかったぞ』ってなったのを覚えてるよ。そしてこらえて、こらえて、こらえて、汗をかいて、監督はカメラを回し続けた。そしてブライアンが撮影していることに気がついた。彼はやっていた。やったぞ、やったぞ、やったぞって思って、『僕は撮影を止めないぞ』って感じになったよ。そして彼がカメラの外で話しているのを聞いた。彼が吠え出して、『オーライ。カット』ってね」
『ミッション:インポッシブル』と聞くと、あの耳に残るBGMが頭の中を流れるけれど、宙づりのシーンは静かな緊張感が漂い、イーサンのメガネについた汗が垂れそうになるところの緊迫感は息をのむ。
それは、何度も繰り返されたリテイクのうえにトムが生み出した名シーンだった。(フロントロウ編集部)