HIV検査は自分だけでなく「大切な人」のためでもある
6月1日から6月7日は日本国内における「HIV検査普及週間」。
HIVの感染は、性行為や注射器の共有などによってHIVを含んだ体液(血液・精液・膣分泌液・母乳など)が相手の血流に入ることで起きるが、現在は、HIVに感染する前から予防する薬や、予防に失敗した時に対処する薬が普及しているほか、母子感染の確立を劇的に減らす薬や療養も開発され、感染のリスクを減らすことができるようになった。
【エイズとHIVの違い】
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染によって、免疫に大切な細胞が減り、さまざまな病気を発症する状態をエイズ(AIDS)=後天性免疫不全症候群という。エイズを発症してしまうと命を脅かす重度の症状を引き起こしやすくなる。一方で、HIVは近年の医療の発展とともに早期に適切な服薬治療を受ければ、免疫力を落とすことなく通常の生活を送ることが可能になってきた。
80年代のロンドンのゲイコミュニティを描き、社会現象を巻き起こしているドラマ『It’s a Sin(原題)』の主演俳優でLGBTQ+アクティビストのオリー・アレクサンダーは、HIV検査を受けることの大切さについて、今年2月のNational HIV Testing Week(※イギリス国内におけるHIV検査普及週間)に自身のインスタグラムにアップした動画を通じてこのように述べている。
「今日はHIVについてお話ししたいと思います。このウイルスとの戦いは、研究や資金提供、人類のために最初に戦った活動家たちのおかげで、驚くべき進歩を遂げました。私たちのドラマに登場するジルやアッシュ、エリザベスのような人たちです。例えば今は、HIVに感染するのを防ぐために服用する薬、PrEP(※)があります。また、HIV陽性の人が病気になるのを防ぎ、パートナーにうつさないようにする効果的な薬もあります。(ドラマの舞台である)1985年とは違って、今ではHIV検査を受けるのがとても簡単になりました。オンラインでも、自宅でもできますし、すぐに結果も出ます」
※ PrEPは「Pre-Exposure Prophylaxis」の略語で曝露前予防を意味する。性交渉の前後にHIVの薬を内服することで、HIV感染のリスクを減らす予防法。通称「プレップ」。
HIV検査が普及したことで、HIV/エイズ患者は年々減少し続けており、医療の進歩によって、適切な治療をすればHIVに感染していない人と同等の生活を送ることが期待できるとされている。大事なのは検査を受けること。オリーも言っていたが、今は自宅で検査が受けられる郵送キットなどもあり、より気軽で簡単に検査を受けることができる環境が整っている。定期的に検査を受けることで、「自分」だけでなく、自分にとって「大切な人」の命も守ることができるということを知っておこう。(フロントロウ編集部)