エマ・ストーンが明かす『クルエラ』役作りの壁
ディズニーの名作アニメーション映画『101匹わんちゃん』に登場するヴィラン、クルエラ・ド・ヴィルの覚醒の物語を描く実写映画『クルエラ』。パンクロック全盛期の1970年代ロンドンを舞台に、持ち前の賢さとセンスを武器にファッション界でのしあがろうとする若き日のクルエラこと“エステラ”を演じるのは、映画『ラ・ラ・ランド』で第89回アカデミー賞主演女優賞を受賞したエマ・ストーン。
さまざまな作品で憑依型の演技を披露し、本作でも高い評価を受けているエマだけれど、じつは、『クルエラ』の役作りにはなかなか苦労したそう。エマは自身の前に立ちはだかった、ディズニー作品であるがゆえの障壁について米New York Timesとのインタビューで明かした。
『クルエラ』ではクルエラのあの習性が排除されている
『101匹わんちゃん』とその後にリリースされた関連アニメ作品、そして俳優のグレン・クローズがクルエラを演じた実写映画『101』(1996年)と続編の『102』(2001年)と比べて、エマが主演を務める今回の実写版『クルエラ』では、クルエラのある“習性”が排除されている。
それは、クルエラがチェーンスモーカーだということ。
過去の作品では、クルエラが長い煙管につけたタバコをくゆらせるシーンが頻繁に登場したが、現在ディズニー作品では、視聴者に悪影響をおよぼしかねない喫煙シーンはNGとされている。厳密には、ディズニーは2007年以降、映画に喫煙シーンを取り入れることを禁止としている。その後、2015年には、ディズニー傘下であるマーベルやピクサー、ルーカス・フィルム制作の作品でも同様の制限が実施されるようになった。
これにならい、エマ演じるエステラ/クルエラが『クルエラ』の劇中でタバコを吸うことはない。
役者にとって、タバコはキャラクターの特性を表現するのに便利な小道具。とくに、クルエラのやさぐれたワルな感じを演出するには恰好のアイテムだった。
クルエラのトレードマークの1つともなっていたタバコが使えないことは、エマにとっては課題だったそうで、「ディズニー映画の劇中でタバコを吸うのは許されないこと。2021年の作品ではNGなの。シガレットホルダー(煙管)を持てないのは、結構ツラかった。(アニメみたいに)緑色の煙を吐き出すのをすごく楽しみにしてたから。でも、それはできなかった」とNew York Timesに話している。
ちなみに、喫煙シーンを禁止しているのは、ディズニーや関連スタジオの作品だけでなく、近年ではワーナー・ブラザースやユニバーサル・スタジオ、パラパウント、ソニーといった大手の映画プロダクションの作品でも徐々に喫煙シーンが減少。2019年には、Netflixが14歳以上の視聴制限が設けられている作品内において喫煙シーンの採用を禁止とすると発表した。(フロントロウ編集部)