米上院での決議が待たれる「平等法」
2021年2月にアメリカ合衆国下院で可決されたLGBTQ+の人々を差別から守るための「平等法(Equality Act)」は、現在、上院議会で決議にかけられるのを待っている状態。この法案が上院でも可決されれば、1964年に制定された人種差別を禁止する公民権法が改正され、雇用や住宅供給の機会などのほか、宿泊施設やレストランといったさまざまな場所における性別や性的指向、ジェンダーアイデンティ(性自認)に基づく差別が法律で全面的に禁止されることとなる。
アメリカ国内においてLGBTQ+の人々のイメージに関するメディアモニタリングを行っている非政府組織のGLAAD(グラード)は、一刻も早く平等法が可決・試行へと向かうよう、この夏、「Summer of Equality(サマー・オブ・イクアリティ)」と題したイニシアティブを始動。平等法への支持を示している上院議員たちにはたらきかけ、決議案を早急にジョー・バイデン大統領のデスクへと提出してもらえるよう求める署名へのサインを募っている。
テイラー・スウィフトが「Summer of Equality」に賛同
プライド月間の初日となった6月1日、以前からLGBTQ+のアライ(支援者、同盟を組む人、理解者)であることを公言しているシンガーのテイラー・スウィフトが、ツイッターを通じてGLAADによる「Summer of Equality」への支持を表明。署名運動への参加を広く呼びかけた。
LGBTQ+のシンボルである虹の絵文字を添えたメッセージでテイラーはこう綴っている。
「差別や憎悪に勇敢に血向っている活動家や擁護者、アライのみなさんの献身に感謝する時間をとりたいと思います。そして、世間からいまだに困難を突きつけられながらも、勇敢に自分自身の真実を生きているみなさんに、いつも通り、私から尊敬と愛を送ります」
「あなたが誰を愛するか、あなた自身をどう認識するかによって、危険にさらされたり、攻撃を受けやすい立場に置かれたり、人生において抑制されたりするべきではありません。私はGLAADの『Summer of Equality』に誇りを持って賛同し、平等法への支援を声高に主張します。ハッピー・プライド月間!」
— Taylor Swift (@taylorswift13) June 1, 2021
LGBTQ+コミュニティへのアンセムとして知られる楽曲「You Need to Calm Down(ユー・ニード・トゥー・カーム・ダウン)」を2019年にリリースし、2020年にはGLAADが主催するGLAADメディア・アワードで功労賞にあたるヴァンガード・アワードを受賞したことも記憶に新しいテイラー。
2月に平等法が下院で可決された際には、即座に「イエス! 上院がトランスジェンダーやLGBTQ+の人たちの権利を基本的な人権と見なしてくれることを祈ってる」と祝福して世間の注目を平等法へと誘導していた。
GLAADの公式ツイッターは、テイラーのメッセージを引用し、「みなさんもテイラーと足並みをそろえ、上院議員たちに平等法への支援を促す署名にサインしてください」とあらためて呼びかけている。
ちなみにLGBTQ+への差別をなくす法律がある国は80カ国以上。オリンピックのホスト国となったことを機に、近年、日本におけるLGBT平等法(Equality Act Japan)の導入にも国際的な関心が高まっている。(フロントロウ編集部)