映画賞を席巻した『プロミシング・ヤング・ウーマン』
レイプ犯に復讐する映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』が、大注目を集めている。
“有望な若い女性(Promising Young Woman/プロミシング・ヤング・ウーマン)”だった主人公のキャシーは、ある事件から医大を中退し、カフェの店員として過ごしている。しかしそんな彼女は、夜な夜なクラブに足を運び、酔った自分を“お持ち帰り”する男たちへ復讐する日々を送っていた。そんななか、大学の同級生であるライアンに再会し、キャシーの心に変化が生まれるけれど、ある出来事をきっかけに、事態はふたたび動き出すことになる…。
復讐劇×ラブコメ×スリラーという異色のジャンルでありながら、細かなところまでをまとめあげたエメラルド・フェネル監督は、本作によって第93回アカデミー賞脚本賞を受賞。
そしてキャシーを演じた主演のキャリー・マリガンも、主演女優賞にノミネート。受賞にはいたらなかったものの、本作での演技はキャリア史上最高だと評価されている。
キャシー役に惚れ込んだキャリー・マリガン
そんなキャリーといえば、2005年に公開されたキーラ・ナイトレイ主演の『プライドと偏見』で映画デビュー。そして2009年の『17歳の肖像』で一躍脚光を浴びた。その後も、カズオ・イシグロによる同名原作の映画版『わたしを離さないで』や、ライアン・ゴズリングと共演した『ドライヴ』、レオナルド・ディカプリオと共演した『華麗なるギャツビー』など、多くの注目作で存在感を見せつけてきた。
しかしキャリーは、役者として、「いつも、他の人がその役を演じているのを想像して納得できれば自分は演じません」と語る。しかし『プロミシング・ヤング・ウーマン』に関してだけは、「今回は、自分以外の俳優がキャシーを演じると思うと不安と怒りがこみ上げてきました」と言い、キャリーがどれだけこの役に惚れ込んだのかが分かる。
だからこそキャリーが演じたキャシーは、平凡な日常のなかに隠した信念を持つ顔、自分に課した使命をこなす表情、ライアンとの日々のなかで見せる笑顔など、怒り、哀しみ、絶望など、様々な顔をリアルに見せ、観客に息を飲ませる。
「本作を観れば、数え切れないほどの感情を味わうことができる」。キャリーがそう語る『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、今夏最大の“見るべき作品”といっていいだろう。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、7月16日より全国ロードショー。(フロントロウ編集部)