年間およそ500万トン〜1,300万トンのプラスチックごみが海に捨てられている
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスらの監修のもと、オーストラリアの慈善団体であるMinderoo Foundationがまとめた、使い捨てプラスチックごみの出どころに関する調査レポートが発表された。それによれば、2019年には年間で13億トン以上のプラスチックごみが世界中で捨てられたといい、燃やされたり、土地に埋められたり、自然のなかにそのまま捨てられたりなどしたという。
ちなみに、使い捨てプラスチックごみの代表的なものとしては、ペットボトルやレジ袋、食べ物のパッケージなどが挙げられる。
プラスチックごみの多くは海に捨てられているとのことで、レポートによれば毎年、500万トン〜1,300万トンのプラスチックごみが海に捨てられているという。海に捨てられれば当然、海に暮らす生態系に大きな影響を及ぼすことになり、海中の炭素も少なくなっていくとレポートでは指摘されている。また、このままのペースで使い捨てプラスチックを捨て続ければ、2050年までに温室効果ガスの排出量は現在よりも5%〜10%増加することになるとも試算されている。
使い捨てプラスチックの大半は20の企業に責任がある
今回発表された調査レポートでは、使い捨てプラスチックごみを排出しているおよそ1,000の工場を対象に調査がなされており、それによれば、世界で捨てられている使い捨てプラスチックごみの大半となる約55%は、石油産業やガス産業に身を置く、世界のわずか20の企業が排出したものだという。
20の企業の内訳に目を向けると、世界で最も使い捨てプラスチックごみを排出しているのは、アメリカのテキサス州に拠点を置く総合エネルギー企業であるエクソンモービルで、2019年には約590万トンのプラスチックを排出したという。最もプラスチックを排出している企業のリストには次いで、アメリカの化学メーカーであるダウ、中国の国営石油企業である中国石油化工が入っている。また、リストによれば、世界のプラスチックごみのおよそ9割は、世界の100の企業が排出しているという。
調査レポートでは、2019年に国民単位で最もプラスチックごみを排出した国のリストもまとめられており、国が排出したプラスチックごみを国民の1人頭で割ると、国民1人あたり年間で59キロのプラスチックごみを出したというオーストラリアがトップに選出されている。また、日本もこのリストで上位に入っており、アメリカ、韓国、イギリスに次いで5位に入っている。レポートによれば、日本は国民1人あたりにつき2019年に37キロものプラスチックごみを排出したという。
地球の環境保全のための“脱プラスチック”が不可欠となっているなかで、企業には、パッケージをリユースするか、それができなければ環境に害のないプラスチックなど新しいパッケージをイノベートすることが求められている。世界のプラスチックごみのおよそ9割を100の企業が出しているという今回のデータが示している通り、こうした企業がプラスチックごみの削減に力を入れて取り組むことができれば、地球全体に大きな変化をもたらすことができる。(フロントロウ編集部)