『セックス・エデュケーション』の名エピソードであるシーズン2の第7話。そのなかで、痴漢被害を親に明かすシーンがあったという。カットになってしまった理由とは?(フロントロウ編集部)

 ※この記事には、ドラマ『セックス・エデュケーション』シーズン2のネタバレが含まれます。

『セックス・エデュケーション』のカットされたシーン

 人間関係としてのセックスや、性にまつわる悩みを描き、こんなドラマを必要としていたと、とくに若い世代から大きな支持を集めるNetflixドラマ『セックス・エデュケーション』。セックスだけでなく、中絶や性犯罪といった物事も丁寧に描く本作では、シーズン2で1つの名エピソードが生まれた。

 『セックス・エデュケーション』シーズン2では、エイミー・ルー・ウッドが演じるエイミーがバスで痴漢被害に遭う。素直で勉強は苦手な愛されキャラクターのエイミーが、最初は痴漢被害に関して大したことはないという態度だったこと、その後メイヴのサポートもあり、警察に被害を届け出るなどの行動を起こしたこと、しかし痴漢のトラウマからバスに乗れなくなったこと、恋人のスティーヴと距離を置くことになったことなど、世界の多くの女性たちが経験したことのある心の傷がしっかりと描かれたことは、高く評価された。

 そしてシーズン2の第7話では、ドラマの主要女性キャラクターたちのシスターフッドが描かれた。エイミーが痴漢によって受けた心の傷を初めて言葉にし、それを聞いていたメイヴやオーラといった仲間たちも、自分たちがこれまでに受けてきた経験を明かす。その夜に瓦礫置き場で物を破壊して、その怒りを表現した彼女たちは、次の日の朝、エイミーと一緒に全員でバスに乗る。

 しかしその前には、エイミーが、母親にその被害を告白できずに苦しむ描写もあった。それもまた、性被害を告白することは簡単ではないという現実を描くものだけれど、じつは、エイミーが母親と話すシーンも撮影されていたという。母親役であるスーザン・リンチとのシーンを、エイミーは英Digital Spyのインタビューでこう振り返った。

 「(そのシーンが予定されていたのは)女の子たちが物を破壊して、エイミーが帰ったあとのこと…。でも、私も思ったけど、それだとエンディングが2つある感じが少しした。だって、女の子たちがエイミーを待って、『バスに乗る。みんなで乗ろう』って言うのは…、あれは、あの瞬間は彼女のカタルシスだった。

 そしてエイミーが家に帰って、ママと話して、それはすばらしいシーンで、そしてその次のシーンで女の子たちが待っているっていうのは、カタルシスが二重になっている感じがした。

 だから制作陣は2つのうち1つを選ばなければいけなかった。制作陣が女の子たちが待っているシーンを選んで、本当に良かった。あれは私の大のお気に入りのシーンだから。でもスーザンとのシーンは、彼女は本気で素晴らしくて、少し自己満足に浸っちゃった。『マジだね。今日は良い演技をしたね』って。

 みんなで見返した時に『あのシーンは?』って聞いたら、『あぁ。なしになったんだ』って言われた。正しい判断だったと思う。でも(あのシーンを)見たい」

 母娘の会話というのも、『セックス・エデュケーション』で見たいテーマではある。エイミーの話だけ聞くと両方とも入れてほしかったと思ってしまうけれど、制作陣が納得しているということは、名エピソードとなった第7話は、あれが完成なのだろう。

 いつか本編からカットとなったエイミーとスーザンのシーンが、ファンも見られるようになることに期待。(フロントロウ編集部)

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