黒人と白人の病気は同じにはならない
俳優であり、人道支援活動に取り組んできたアンジェリーナ・ジョリーが、現在イギリスのロンドンで医学部に通うMalone Mukwendeと米Timeで対談した。
黒人であるマローンは、医学生として学ぶなかで、医学が白い肌を基準にしており、肌が黒い人々には適さないものがあると気がついたことから、暗めの肌色ではどのような症状・見え方になるのかをまとめたハンドブックの『Mind the Gap』、そしてオンラインプラットフォームのHutanoを制作した。
「発疹や肌に出る病気について学ぶ時、その例で使われるのはいつも白い肌です。個人的な勉強として『他の肌の色では、これらはどう見えますか?』と聞いても、多くの場合に人々は知らないと答えるんです」
“But what will it look like on darker skin?”- A question I’ve often asked myself during my time at medical school
— Malone (@malone_mk) June 18, 2020
This constant cerebration led me to curate a handbook that presents clinical features on darker skin. I hope this resource shifts the culture of medical education. pic.twitter.com/Coh3RrAVW8
彼が住むロンドンは、その人口の40.2%がアジア系、黒人、ミックス、その他の民族グループとなっている。そんな多様性のある土地の医学部ですら、白い肌以外ではどうなるのかが分からないと答える人がいるのは衝撃的と言える。
それどころか、マローンの元には、アフリカ南部の国ジンバブエで医学生をしているという人物から連絡があり、黒人が大多数を占めるジンバブエですら、教科書では白い肌が例として使われていると伝えられたという。
「これは、植民地主義の遺産が2021年になっても残っていることを切に示している」
アンジェリーナ・ジョリー、娘を育てるなかで気がついた問題
そして、マローンの話を聞いていたアンジェリーナも、ある出来事を思い出していた。6人の子供を育てているアンジェリーナは、第1子マドックスをカンボジアから、第2子ザハラをエチオピアから、第3子パックスをベトナムから養子として迎えた。
ザハラの肌の色は黒であり、母親として彼女を育てるなかで黒人が直面する差別を目の前で見てきたアンジェリーナは、医療の現場でも、構造的な問題があったと振り返る。
「私には様々な背景がある子供たちがいるので、すべての人がかかることになる発疹が肌の色によって見え方が大きく変わることを知っています。でも医療の例を見ても、基準はいつでも白い肌に置かれている。エチオピアから養子に迎えた娘のザハラは、最近手術をしたのですが、その後に看護師さんに、彼女の肌が“ピンク色になったら”呼ぶよう言われたんです」
白い肌と黒い肌では、症状の色の出方が異なる。白い肌が基準になっているといえるこういった言い方には、マローンも違和感を覚えたことがあるとし、そういった言い方が使われると、何かが起きていても看護師や医師を呼ばない人もいると指摘した。
アンジェリーナが、自分と肌の色が違う娘を育てるうえで恐怖を覚えたことがあると明かしたのは、これが初めてではない。2020年に黒人の人権運動であるBLMが大規模発生した際には、「私を守るシステムは、私の娘を守らないかもしれません。もしくはその肌の色によっては、他の男性や女性、子供たちも。それは耐えがたいものです」という思いを綴り、共感するだけでなく、教育や政治など、社会の構造から改善していく必要があると声をあげた。
医学においても、根本的に改善すべき問題が指摘されている。
(フロントロウ編集部)