異性愛者のカップルに限定されていた、IVF(体外受精)といった生殖補助医療を女性同士のカップルや独身女性にも認める法案がフランスの上院で可決された。(フロントロウ編集部)

女性の生殖の権利に影響を与える法案が可決

 この法案の成立は、エマニュエル・マクロン大統領が2017年の選挙公約として掲げていたもので、途中で極右団体などから強い反発を受けながらも、このたび賛成326-反対115で承認された。IFOPが行なった調査では、フランス国民の約7割が今回の法律を支持しているという。

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 この法律の成立により、43歳以下のすべての女性が体外受精(IVF)や人工授精をはじめとするさまざまな治療を受けられるようになり、その費用はフランスの医療サービスでカバーされる。他にも、これまでは放射線治療など生殖機能に影響が出る治療を行なっている女性に限定されていた卵子凍結が30代の女性にも認められたり、ドナー精子を使って授かった子供に成人となった時点でドナーの身元を知る権利が与えられたり、同性カップルの場合は産んだ女性とパートナーの女性の両方の名前が出生証明書に記載できたりと、女性の生殖や家族の権利が大きく変わる。

 英BBCの報道によると、フランスのオリビエ・ヴェラン保健相は法案の承認によって2021年末までに最初の子供の妊娠があることを望んでいるとしたが、一方で、右派の野党政治家が関与するフランス憲法審議会への提訴により、法律の変更が遅れる可能性もあるとした。

 ちなみに日本は、ヨーロッパでは一般的となっているこの分野での法整備で遅れを取っており、例えば産科婦人科学会の規定で第三者の精子提供を受けるAIDは無精子症の「法的に婚姻している夫婦」に限られているなど、レズビアンやパートナーをもうけずに親になる選択制シングルマザーを望む女性が親になるためのハードルはまだまだ高い。(フロントロウ編集部)

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