トーマス・デーリーとマシュー・リーが男子シンクロ高飛び込みで金メダル
7月26日に行なわれた、東京オリンピック男子10mシンクロ高飛び込みの決勝で、イギリス代表のトーマス・デーリー(27)とマシュー・リー(23)のペアが金メダルを獲得。トーマスにとって今回は自身4度目となるオリンピックの舞台で、2012年のロンドン五輪での銀メダル、2016年のリオ五輪での銅メダルに続いて、今回初となる悲願の金メダルを獲得した。
トーマスは2013年にゲイであることをカミングアウト。パートナーである、2008年公開の映画『ミルク』でアカデミー賞の脚本賞を受賞したことで知られる脚本家のダスティン・ランス・ブラックと2017年に結婚して、2018年には第1子となるロビー・レイをダスティンとの間に迎えている。
トーマス・デーリーがLGBTQ+の若者たちにメッセージ
今回、トーマスは初となる金メダルを獲得したことを受けて、試合後の記者会見でLGBTQ+コミュニティの若者たちに力強いメッセージを送った。
「若かった頃、私はいつも自分が孤独で人とは違う存在のように感じ、どこにも所属できずに、自分には、社会が望むような良い人間にはなれない何かがあるのだと感じていました」と、トーマスは記者会見で若い頃に経験した葛藤について打ち明けた上で、次のように続けている。
「LGBTQの若者のみなさんには、あなたがどれだけの孤独を今感じていようと、あなたは1人ではないし、何だって達成できるということ、そして、多くのチョーズン・ファミリー(※)たちがあなたをサポートする準備ができているということを知ってもらいたいです」。
※Chosen Family(チョーズン・ファミリー):血縁の繋がっていない人々同士が、自分たちで家族のような存在になることを選んだ家族のこと。
「私はゲイの男性で、オリンピックのチャンピオンだということを心からの誇りを持って言うことができます。私はそのことにとても勇気づけられています。なぜなら、私は若い頃、自分らしさのために何者にもなれず、何も達成することができないと思っていました。オリンピックのチャンピオンになれたことで、どんなことでも達成できるということを示すことができたのです」。
LGBTQ+であることをオープンに言いやすい環境へと少しずつなってきているなか、東京オリンピックはLGBTQ+であることをオープンにしている選手が史上最多の160人を超えている。トーマスが子供だった時代は自分と同じような人をオリンピック中継で見ることはできなかったが、トーマスのような選手の登場で、今の時代の子供たちは見られるようになってきており、その影響力の大きさは計り知れない。(フロントロウ編集部)