テイラー・スウィフト、東京五輪でメンタルヘルスを優先したシモーネ・バイルズに感謝

シモーネ・バイルズが東京オリンピックの女子平均台で銅メダル

　東京オリンピックの体操女子種目別平均台の決勝が8月3日に行なわれ、中国の管晨辰と唐茜靖がそれぞれ金メダルと銀メダルを獲得し、アメリカのシモーネ・バイルズが銅メダルを獲得した。

　シモーネにとっては、体操女子団体でチームとして手にした銀メダルに続く今大会2つ目のメダル獲得となったが、シモーネは7月27日に行なわれた団体戦の途中で、跳馬の演技後におもにメンタルヘルスの不調を理由に途中棄権。その後、出場する予定だった個人総合、跳馬、段違い平行棒、床運動の決勝戦もそれぞれ同様の理由で棄権していた。

　シモーネは体操界では知らない人はいないと言えるほどのスター選手で、リオ五輪では4つのメダルを獲得し、世界選手権では史上最多となる通算19個の金メダルを手にしているなど、今大会でも金メダル候補の筆頭だった選手。そんなシモーネがメンタルヘルスの不調を理由に決勝を棄権したことは世間に大きな衝撃を与えることとなったが、心の健康を優先したシモーネの決断には多くの賞賛が寄せられることに。

　同じくメンタルヘルスの不調が原因で一時的に活動をセーブした経験のあるジャスティン・ビーバーはシモーネに賛辞を寄せた1人で、「棄権するという君の決断を僕はとても誇りに思うよ。自分の魂を失ってまで世界を手中に収めることに何の意味があるんだろう。それくらいシンプルなこと。ノーは時にイエスよりもパワフルだ」とシモーネの決断を称えた。

テイラー・スウィフトがシモーネ・バイルズを激励

　そして、今回、見事に女子種目別平均台で銅メダルを獲得したシモーネと、テイラー・スウィフトとの間で心あたたまるやり取りが交わされている。

　きっかけとなったのは、シモーネを応援するためにテイラーが自らの楽曲とナレーションを提供したTVスポット（※）。テイラーはこの映像の前にも、シモーネがいる女子体操チームやミーガン・ラピノー選手擁する女子サッカーチームを応援するためのTVスポットでナレーションを務めている。

※放送におけるコマーシャルメッセージの一種。短期間で様々な層のターゲットに伝達することができるCM方式。

　今回、女子種目別平均台の決勝が放送されるのに先立って公開されたTVスポットは、シモーネのこれまでの軌跡を振り返るというもので、そのなかでテイラーは「世界中の注目を集める時には、すべての行動が大きな意味を持つことになります。重荷になる得るのです。何もかもを変えるチャンスにもなり得ます」と語り、シモーネを次のように称えている。

　「この1週間を通じて、彼女の声はその才能と同じくらい重要なものとなってきました。完璧なほどに美しい彼女の誠実さは、長きにわたって彼女を象徴してきたものです。ご覧の通り、それは今も彼女を象徴しています。彼女も紛れもなく人間であり、それこそが彼女をヒーローと呼びやすくしているのです」

シモーネ・バイルズに感謝を伝えたテイラー・スウィフト

　自身のこれまでの軌跡がフィーチャーされた映像はシモーネのもとにも届いたようで、シモーネはこの映像をリツイートする形で、「泣いてる。なんて特別なの。愛してる、テイラー・スウィフト」とテイラーへの感謝のメッセージをツイート。

　すると、テイラーがシモーネからのツイートに反応を示して、シモーネに次のようにメッセージを送った。「私はあなたを見ながら泣いていたよ。ここ何年かあなたを見ることができたことをすごく幸運に思っているけど、今週は感情面の賢さと、立ち直る力を学ばせてもらった。私たちはみんな、あなたから学ばせてもらったよ。ありがとう」

　シモーネは銅メダルを獲得したことを受けて米Todayに次のように語っている。「あらゆる金メダルよりも重みがあります。なぜなら、私はこの5年間と、ここにいる1週間の間に多く乗り越えてきたのですから」。

　自分のメンタルヘルスを優先してもいいんだと世界中に示し、最後に出場した平均台で見事に銅メダルを獲得してみせたシモーネの活躍は、多くの人たちに勇気を与えたに違いない。（フロントロウ編集部）

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