ダベイビーの問題発言に揺れるヒップホップのシーン
かつては同性愛者などLGBTQ+の人々がなかなか受け入れられてこなかったヒップホップのシーンにおいて、ゲイであることをカミングアウトしているリル・ナズ・Xを筆頭に現在進行形でその壁が打ち破られつつあるなか、現在、ダベイビーがアメリカ最大級のヒップホップ系フェスティバル「Rolling Loud」のステージで行なった、HIV/AIDSと共に生きる人や同性愛者に対する差別発言が問題視されている。
ダベイビーの発言をめぐっては、ヒット曲「Levitating」でダベイビーとコラボしているデュア・リパがすぐさま彼の発言を非難する声明を発表するなど、アーティスト界隈からも批判の声が多く寄せられることに。
一方で、ラッパーのT.I.が「もしリル・ナズ・Xの(ゲイであることを全面に打ち出した)ミュージックビデオを受け入れ、彼に真実を生きさせてあげるのであれば、ダベイビーのような人たちにも真実を語らせてあげなくてはいけないよ」「何も間違っていないよ。ヘイトも存在しないしね。正直というだけさ。みんな、それぞれの真実を生きているんだ」と、ダベイビーを擁護するコメントを発表するなど、ヒップホップのシーンにおいて今もLGBTQ+のコミュニティに寛容ではない場所があることが明らかになった。
メーガン・ジー・スタリオンがダベイビーの問題にコメント
そんななか、今回、今年のグラミー賞で新人賞を受賞し、ダベイビーと同日に「Rolling Loud」にも出演したラッパーのメーガン・ジー・スタリオンが米Peopleのインタビューに応じて、ダベイビーの問題発言についてコメントした。
インタビューのなかで、今回のダベイビーの発言について話が及ぶと、メーガンはラップ界がLGBTQ+に対するヘイトと向き合う「その時がきたよね」と語り、「レプリゼンテーションこそが大切。私たち全員が、すべての人たちに思いを馳せて、受け入れるということは本当に重要だと思う」と続けた。
現在26歳のメーガンは2018年、高校生だった2012年の時に同性愛者に対する蔑称を使っていた映像が発掘されて“同性愛嫌悪”だと批判されたことがあり、その時には次のようにツイートしていた。「私は成長して、無神経にならないための術を学びました。私はいかなる人のこともジャッジしませんし、その人の肌の色や性的指向にかかわらず、すべての人たちを受け入れます」。
I grew up& learned how to not be insensitive. I don't judge anyone I accept everyone as they are no matter their color or sexual preference
— TINA SNOW (@theestallion) August 29, 2018
ダベイビーは当該の発言を受け、複数のフェスティバルへの出演がキャンセルとなったほか、ブランドとの契約も解除に。コラボレーターのデュアは「ダベイビーの発言に驚くと同時に恐怖を感じています。私が一緒に仕事をした人とはとても思えません」「私たちは、HIV/AIDSにまつわる偏見や無知と戦うために団結する必要があります」とダベイビーを批判する声明を出した一方で、マイリー・サイラスはダベイビーについて、彼に必要なのはキャンセルではなく「教育」だとして、一緒に学んでいこうと呼びかけている。(フロントロウ編集部)