映画『インディ・ジョーンズ』シリーズ
『インディ・ジョーンズ』シリーズは、映画『スター・ウォーズ』シリーズのハン・ソロ役として知られるハリソン・フォードが主演の大人気アドベンチャー映画。
映画『E.T.』のスティーヴン・スピルバーグと『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカスがタッグを組んで制作された本シリーズは、1981年に第1作目の映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』が、1984年に第2作目の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』が、1989年に第3作目の『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』が、2008年に第4作目の『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』が公開され、いずれも大ヒットを記録した。
現在79歳のハリソンを主演に迎えた最新作、『インディ・ジョーンズ5(仮題)』の制作が進められている。
しかし、このシリーズの中で2作目『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』だけがインドで公開されていない。それには、インドの文化に根付いた深い理由があった。
『魔宮の伝説』がインドで公開されなかった理由
1984年に公開された『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』は、暴力シーンや残虐な場面が多かったことでアメリカでも物議を醸し、PG-13(※)というレーティング誕生のきっかけにもなった。
※13歳未満の子どもが鑑賞する場合には保護者の注意や指導が必要とされる規制。
さらにインドでは、本作にインドとその国民に対する否定的なステレオタイプが描かれているという理由で大きな論争が巻き起こり、公開中止に。
映画の中では、人間の生け贄が登場し、猿の脳みそが地元の珍味として紹介され、カルト的な村人たちがカーリーという神を崇拝しているように描かれている。カーリーはヒンドゥー教の女神でインドでは変化とエンパワーメントの女神であり、憎しみに満ちた存在というよりは、より慈悲深い存在。しかしこの映画では、カーリーはより悪魔的な存在として描かれていた。
映画界における巨匠の一人としても知られるインドの映画監督サタジット・レイは、のちに出版された伝記で「最初の10分以外は『絶対におかしい、信じられないほど悪い』」と思ったと記している。
スピルバーグ監督自身は米The New York Daily Newsのインタビューで「あまりにも暗く、アングラすぎて、あまりにもおぞましい。映画『ポルターガイスト』(※)を凌駕していると思った」、「2作目には全く満足していなかった」と同作の仕上がりに満足していなかったことを打ち明けている。(フロントロウ編集部)
※1982年公開のホラー映画。