リル・ナズ・Xが世界で最も影響力のある100人に
米TIME誌による、毎年恒例となっている「世界で最も影響力のある100人」の2021年版のリストが発表されて、9月17日に待望のデビューアルバム『モンテロ』をリリースしたラッパーのリル・ナズ・X(22)が、ケイト・ウィンスレットやスカーレット・ヨハンソン、映画監督のクロエ・ジャオらと並んでアーティスト部門に選出された。
「Old Town Road」が全米シングルチャートの首位を独走していた真っ最中だった2019年6月30日にゲイであることをカミングアウトして以来、LGBTQ+コミュニティのために積極的に声をあげてきているリル・ナズ。
彼は今年、デビュー作『モンテロ』のタイトルトラックである、男性とのロマンスの経験がもとになった曲「モンテロ(コール・ミー・バイ・ユア・ネーム)」で「Old Town Road」以来となる全米1位を獲得して、自身の実力が正真正銘のものであることを証明。クィアの人々を排除してきた側面があるヒップホップのシーンにおいて彼が快進撃を続けている事実は、“革命”とも称されている。
キッド・カディがリル・ナズ・Xをサポート
そんなリル・ナズに推薦文を寄せたのは、グラミー賞受賞歴もあるラッパーのキッド・カディ。彼は、「リル・ナズ・Xは、僕がキャリアを始めた時に乗っていたテーマのいくつかに、新しいひねりを加えてくれています。『自分自身に忠実にあること』と、『誰が何と言おうと気にしない』ということです。彼がやっていることは、僕らがまさに今、必要としていることです。ヒップホップにおいてゲイの男性が好きなようにやり、数々の記録を破っていく。これは、僕らや(黒人の素晴らしさを讃える)ブラック・エクセレンスにとって大きな意味を持っています」と、リル・ナズの功績を綴って、同性愛嫌悪が特に根深いと言われる黒人コミュニティにおいて、彼のような存在がいかに大きいかを称えた。
キッド・カディは続けて、リル・ナズのデビューアルバム『モンテロ』について言及。ドージャ・キャットやマイリー・サイラス、メーガン・ジー・スタリオンといった豪華なアーティストがゲストとしてアルバムに参加している一方で、黒人のラッパーが1人もゲストとして参加していないことに触れて、次のように綴った。
「アルバム『モンテロ』に黒人の男性アーティストがフィーチャリングで参加していないことを指摘するツイートに、彼が『もしかしたら、多くの人たちが俺と仕事をしたくないと思っているのかも』と返信していたのを見て、僕は悲しくなりました」。
「ヒップホップには同性愛嫌悪の雲がかかっています」と彼は続けている。「彼はそれを閉ざそうとしているのです。僕たちは、彼と団結する必要があります。僕は応援するよと彼に伝えられるなら、僕は何だってします」。
キッド・カディは、喜んでリル・ナズとコラボするつもりだとして、推薦文を次のように締め括った。「僕らが一緒に曲を作る時には、そのミュージックビデオがどんなに奇妙なものになろうと、セクシーなものにするつもりです」。(フロントロウ編集部)