監督や俳優の訴えが届いた！エミー賞初の「スタント・パフォーマンス賞」が決定【セレブの声まとめ】

2021年のクリエイティブ・アーツ・エミー賞授賞式が開催

　「クリエイティブ・アーツ・エミー賞」は、毎年アメリカのテレビ業界で功績を残した番組に贈られる「エミー賞」の中でも、特に美術、撮影、キャスティング、音響などの技術部門をメインに贈られる賞。

　2021年9月に開催される第73回エミー賞は2020年6月1日〜2021年5月31日にアメリカのプライムタイム（ゴールデンタイム）で放送されたテレビ番組が対象となっており、俳優・監督・脚本などが表彰される「プライムタイム・エミー賞」は、日本時間9月20日にU-NEXTにて独占生配信される。

クリエイティブ・アーツ・エミー賞にスタント・パフォーマンス部門

　2021年のクリエイティブ・アーツ・エミー賞では、スタントマン個人の活躍を讃えるスタント・パフォーマンス賞が新設された。スタントに関する部門としては、2002年にアクションシーンを監督した人物を讃える“スタント・コーディネーション賞”はあったものの、スタントパフォーマー個人が対象となるのは72年の歴史の中で初めて。

　そんな部門にノミネートされたのは、以下の通り。

☆ドラマ『コブラ会』：ジャーネル・カーフマン、ジュリア・マッジオ、ジョン・ジハンギル、マルク・カノニザド
☆ドラマ『ギャング・オブ・ロンドン』：メンス＝サナ・タマクロー
☆ドラマ『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』：ジャネシア・アダムズ＝ギンヤード
☆『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』：ジョン・ナニア、アーロン・トニー、ジャスティン・イートン
☆ドラマ『マンダロリアン』：ラティーフ・クラウダー

　そして、みごとドラマ『マンダロリアン』：ラティーフ・クラウダーが受賞を果たした。

　エミー賞を主催するテレビ芸術科学アカデミーは、米Varietyに「これまではスタント・コーディネーション部門しかなかったなか、この新しい賞はスタントパフォーマー自身を表彰するものです」と述べている。

スタントパフォーマーに評価を求める声

　昨今、スタントパフォーマーの存在はこれまで以上に映画産業の中で重要視され、さまざまなアワードにおけるスタントパフォーマー部門の設立が声高に叫ばれてきている。

　Netflixドラマ『パニッシャー』や、映画『フォードvsフェラーリ』などで知られるジョン・バーンサルは米Men’s Healthのインタビューで、「彼ら（スタントパフォーマー）は僕たち俳優の“兄弟”ともいえる存在で、映画のセットにいるときに一番身近にいてくれる人。彼らのためにアカデミー賞が用意されていないのは絶対に犯罪だと思う」と強く主張。

　また、MCU映画『キャプテン・マーベル』の主演女優ブリー・ラーソンもMTVムービー＆TVアワード（MTV Movie & TV Awards）で、ベスト・ファイト賞を受賞した際には壇上に自身のスタントの一部を担った女性スタントマンのレネー・マネーメイカーとジョアンナ・ベネットを招き、「彼女たちがいなかったら映画は完成しませんでした。キャプテン・マーベルの基礎を作ってくれたのはこの2人で、彼女たちはキャプテン・マーベルを体現する存在です」と2人の功績を讃えた。

　さらに、映画『ワイルド・スピード』シリーズなど、数々のアクション映画に出演してきたミシェル・ロドリゲスは、スタントパフォーマーの女性たちの活躍を記録したドキュメンタリー映画『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』の制作総指揮となり、映画史に残るアクションシーンを演じてきたスタントウーマンたちの証言をまとめあげた。

　また、10月8日に日本で公開となる映画『キャッシュトラック』で主演を務めるジェイソン・ステイサムも米Vanity Fairのインタビューでスタントパフォーマーたちのカテゴリーは「見過ごされている」と言い、彼らへの賞がないのは「僕が思うに、全くの不公平だ」、「本当に不満」とコメントしている。

　2005年にはロサンゼルスのスタンツ・アンリミテッド社が同業3社と共同でアカデミー賞にスタント部門を新設する嘆願書を提出。アーノルド・シュワルツェネッガーやスティーヴン・スピルバーグ監督など大物セレブが賛同した。他にも、映画『ジョン・ウィック』のチャド・スタエルスキ監督やアカデミー賞俳優のヘレン・ミレンなどもスタントマンの賞の創設を求めてきた。

　現時点でアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞で新たにスタントパフォーマーを称える賞が設立されるという発表はされていないが、非常に長い期間にわたって設立が望まれてきた賞なだけに、それらのアワードでスタントパフォーマー部門が設立されることに期待したい。（フロントロウ編集部）