セックスシーンで俳優を守るインティマシー・コーディネーター
ついに待望のシーズン3が配信となったNetflixの人気ドラマ『セックス・エデュケーション』。
10代から、その親世代、そして教師たちなど、すべての登場人物たちが抱える性にまつわる悩みを、人間関係の一部として描く本作。シーズン3は、前2シーズンと比べると、登場人物たちの成長が色濃く感じられるシーズンとなった。
振り返れば、本作はエイミーとアダムのセックスシーンで始まった。その後も多くキャラクターたちのベッドシーンが登場したが、本作の撮影において重要な役割を果たしたスタッフがいる。
それが、キスシーンやベッドシーンといった、精神的にも負担がかかりやすいシーンの撮影にのぞむ俳優をサポートする専門のコーディネーターであるインティマシー・コーディネーター。
エイミーが学んだ「たぶんはノー」
セクハラ被害に声を上げる世界的運動MeTooが2017年に起こり、多くの現場で採用されるようになったインティマシー・コーディネーターだが、じつはNetflix作品で最初にインティマシー・コーディネーターを採用したのが『セックス・エデュケーション』なのだ。
そして、エイミーを演じるエイミー・ルー・ウッドは、インティマシー・コーディネーターであるイタ・オブライエンのアドバイスに助けられたという。エイミーは初めてのセックスシーンの前に、「たぶん大丈夫」という返事をしていたと、米Colliderのインタビューで振り返る。しかしそれに対し、イタはエイミーにこう話したそう。
「エイミー。これを言わせて。ノーはノーって意味。そして“たぶん”もノーって意味。だからもしあなたが、“たぶん大丈夫”って言うのなら、それはノーだよ。なぜなら、それによって何が起こるかというと、あなたは妥協し、なにかに同意し、そしてその後に気分が最悪になる。あなたが自分にとって100%大丈夫じゃなかったことをすれば、あなたは最悪な傷心の二日酔いを経験することになる」
そしてエイミーは続けて、当時の自分の思いも振り返り、こう語った。
「誰かが私にプレッシャーをかけてきたわけじゃない。ただ私が人を喜ばせようとして、『うん。たぶん出来る。たぶん出来る』って感じになってた。そしたらイタが、『覚えておいて。すべてのセックスシーン、すべての親密な状況で、ノーはノーで、たぶんもノー。たった1つ、完璧なイエスだけがイエス』と言ってくれた」
セックスに関することで、「ノー」でもなく「イエス」でもなく「たぶん」という状況にいたことがある女性は少なくないはず。そして相手から無理強いされたわけではないけど、自分がしたいかどうかは分からないことをしたことがある女性も。
エイミーの気持ちにも共感してしまうし、イタのアドバイスにはハッとさせられる。「たぶんはノー」というのは、自分の気持ちを大切にするためのキーワードになりそう。
ちなみに、エイミーは『セックス・エデュケーション』への出演を経て、映像作品を見ると、その現場にインティマシー・コーディネーターがいたかどうかが分かるようになったという。そのうえで、自分がしたくないと思ったら別の方法を見つけるべきだと感じているそうで、「人はいつだって別の方法を見つけ出せるんだから」と話した。
(フロントロウ編集部)