Netflix映画『スケーターガール』が描く女の子の現実
Netflix映画『スケーターガール』は、インドに暮らす10代の少女プレルナを主人公にした青春映画。亡き父親の生い立ちを知ろうと村を訪れるインド系イギリス人のジェシカと出会ったプレルナは、それがきっかけでスケートボードに夢中になるのだが、父親の猛反対にあってしまう。その一方でジェシカは、スケートボードが子供たちの与える変化に気づき、スケートパークの建設を計画する。
本作の軸のひとつになっているのが、インドの女の子が直面している現実。
プレルナには弟がいるのだが、“将来がある”弟は学校に通っていて、“どうせ嫁に行く”プレルナは家事や仕事の手伝いを任されている。姉弟2人でスケートボードを始めた時には、弟は何も言われないのに対して、プレルナは「男の遊びをしてないで料理でもしろ」と叱られる。そして彼女に迫るのが、10代でのお見合い婚。
さらにプレルナの物語に加え、スケートパークを作ろうとするジェシカが言われる「実際やるのはどなた? あなたの父上? ご主人?」という言葉や、プレルナの母が語る「(自分の体は)弱っていたけど男の子を産まなきゃいけなかった。みんな息子を欲しがる。私の意志は関係なかった」といった言葉から、“女の子だから”受ける差別がその後“女性だから”へと変化して続いていくことが浮き彫りになる。
プレルナやジェシカはスケートボードをきっかけに、女性である自分たちは家事をする以上の存在であること、子供を産む以上の存在であることを訴えていく。
たった1つのきっかけが女の子をエンパワーする
『スケーターガール』のもう一つの軸になっているのが、女の子たちをエンパワーすることが秘めるインパクト。プレルナにとってエンパワーのきっかけは、スケートボードだった。情熱を注げるものを見つけたプレルナは、親の言いつけや慣習に疑問を抱き始め、初めて自分のための夢を描く。さらにスケートボードは、女の子や子供たちにカースト(※ヒンドゥー教の身分制度)を超えて交流する機会を与える。
そんな映画では、スケートパークを作ろうとしたジェシカや、パークの建設を後押しした村の女性権力者など、女の子たちをエンパワーするために動いた大人たちの存在にも注目してもらいたい。
世界にはプレルナのような女の子たちがたくさん存在していて、彼女たちをエンパワーするためにも、そのきっかけを作り、古い慣習などを変化させていかなくてはいけない。そしてそのためにも、そういった活動をしている国際NGOプラン・インターナショナルの発案で始まった国際ガールズ・デーのような、女の子たちが直面する問題にスポットライトを当てる国際デーに関心を持つことが大事。(フロントロウ編集部)