ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2021で優勝したことをきっかけに世界的な大ブレイクを果たしたイタリア出身のロックバンドであるマネスキンが、ユーロヴィジョン後初のニューシングル「マンマミーア(MAMMAMIA)」を発表。リリース直前にドイツはベルリンで行なわれたグルーバルプレスカンファレンスの模様をレポート。(フロントロウ編集部)

マネスキンが新曲「マンマミーア」をリリース

 今年5月に開催された、ヨーロッパ最大の音楽コンテストであるユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2021にて、イタリア勢として31年ぶりに優勝を果たしたロックバンドのマネスキン(Måneskin)が、ユーロヴィジョン後初となる新曲「マンマミーア(MAMMAMIA)」をリリースした。

画像: マネスキンが新曲「マンマミーア」をリリース

 マネスキンは、20〜22歳のダミアーノ・デイヴィッド(ボーカル)、ヴィクトリア・デ・アンジェリス(ベース)、トーマス・ラッジ(ギター)、イーサン・トルキオ(ドラム)から成るバンド。デンマーク語で「月光」を意味するバンド名は、デンマーク人とのミックスであるヴィクトリアがメンバーに頼まれていくつか提案した単語の中で、一瞬のうちに彼らを魅了したのが“マネスキン”だったという。メンバーは小学校低学年からの知り合いで、一緒に音楽をやるようになったのは2015年から。ロックやラップ、ヒップホップ、レゲエ、ファンクの要素を多彩に織り交ぜ、フロントマンを務めるダミアーノのソウルフルな声により見事にまとめられたサウンドや、華やかなステージ衣装が人気を集めている。

 彼らはユーロヴィジョンで優勝を果たして以降、世界的なブレイクを果たしており、ここ日本でも大ヒット。コンテストで披露したシングル「ジッティ・エ・ブオーニ(Zitti E Buoni / 意味:黙ってイイ子にしてな)」が6月1日付のSpotify「バイラルトップ50-JAPAN」で2位にランクインしたほか、別のシングル「アイ・ワナ・ビー・ユア・スレイヴ」も同チャートで7位にランクイン。トップ10に2曲を送り込むという快挙を達成した。

 マネスキンは現地時間10月7日にドイツはベルリンにあるライブハウスSO36で行なったイベントで「マンマミーア」を初お披露目しており、その直前には、世界各国のメディアを集めて、グローバルプレスカンファレンスを実施。フロントロウ編集部も参加することができたので、その模様をレポートする。

マネスキンがグローバルプレスカンファレンスを実施

 ライブハウスSO36で行なわれた記者会見には、ダミアーノとヴィクトリア、トーマス、イーサンの4人全員が参加。昔からの友人同士で結成されたマネスキンは、常に4人でプレスを行なうようにしているといい、その理由について、ボーカルのダミアーノは「僕らは自分たちをバンドとして見せたいんだ。もちろん、それぞれに個性はあるにせよ、僕らとしては一緒でありたいと思っている。全員で素晴らしいものを作っているからね」と話す。

画像: 【左から】イーサン・トルキオ(ドラム)、ダミアーノ・デイヴィッド(ボーカル)、トーマス・ラッジ(ギター)、ヴィクトリア・デ・アンジェリス(ベース)。

【左から】イーサン・トルキオ(ドラム)、ダミアーノ・デイヴィッド(ボーカル)、トーマス・ラッジ(ギター)、ヴィクトリア・デ・アンジェリス(ベース)。

新曲「マンマミーア」の制作過程について

ダミアーノ「ユーロヴィジョンが終わってすぐにこの曲を書いたんだ。スタジオで曲を書く時間は数日ほどしかなかったのだけど、幸運にも、この曲のアイディアは数時間で浮かんだ。だからこそ、この曲は僕らにとって良いものになると感じたし、名曲になるって確信できた。曲を書くのに何ヶ月もかかることもあるけど、時には、ものすごくインスピレーションを受けて(制作したものを)気に入るときもある。そうでしょ? この曲で感じたのはそういうものだね」

ヴィクトリア「私たちは、シリアスになり過ぎずに、楽しみながら書くことを心がけた。ふざけているような、向こう見ずっていう感じの曲で、私たちにとっては初めての曲。なので、私たちは楽しみながらやることを心がけた。完成した楽曲には満足してる。私たちが多くのことを経験していた時期に書いたということもあって、私たちは刺激を受けている状態だったし、自然と楽曲が出来あがったのはよかった」

「マンマミーア」のテーマについて

ダミアーノ「ユーロヴィジョンの後で、僕らに多くの注目が集まることになった。そうなると、自分たちとしては素晴らしいことをしたと思っても、人々からは批判されてしまうということが起こり得る。僕としては、そういうことを楽曲の歌詞に落とし込みたいと思ったんだ。自分たちは素晴らしいと感じていても、人々からは理解されず、悪評や酷いコメントを寄せられるという状況は頻繁に起こるものだからね。なので、僕としては、楽曲のなかでそういうシチュエーションをからかってみたいと思った。『ドゥドゥドゥドゥ…』って鳴らすパートとかでね(笑)。それから、コーラスの部分では、性生活について歌っているんだけど、ここでも、(人々からの批判をからかうという)同じメッセージが込められているんだ。性生活に関しても、好みのようなものがあるけど、それを周りから奇妙だとか、不気味だって思われることがある。本来は純粋なことなのにね。この曲は、周囲が自分をどう感じているかについての曲で、周囲と自分の捉え方がいかに違っているかを歌っているんだ」

「マンマミーア」というタイトルの意味について

ダミアーノ「『マンマミーア』は、(ポジティブな意味とネガティブな意味の)両方が込められているね。自分に対する人々からの驚きを表現している。英語で言う『オーマイガー』のようなものだよ。同時に、イタリア人のステレオタイプをからかってもいるんだ。というのも、自分たちはイタリア人のステレオタイプとはかけ離れていると感じているから。内輪ネタのようなものになっている」

画像: 「マンマミーア」というタイトルの意味について

自分たちのようなバンドがロックの復活を牽引していることについて

ヴィクトリア「私が思うに、こういうジャンルの音楽の復活は、バンドをやっているような人たちが本来はこういう音楽をやりたいと望んでいるのに、レーベルとかから『ダメだ』って言われている状況があることを証明していると思う。この潮流が、彼らにより自由を与え、好きなことをやるきっかけになっていくんじゃないかな。それから、私たちの元にはたくさんのファンから、『楽器を買いました』とか、『バンドを始めました』みたいなメッセージが寄せられるの。それってすごいことだし、本当にクール」

世の中の偏見を覆していくような、メンバーのユニークなファッションについて

ヴィクトリア「意図してやっているわけではないの。これがありのままの私たちだし、私たちはこうやって大人になってきた。イタリアは保守的な国だから、『普通』の格好をしていないと、批判されがちだった。私たちも10代の頃はそういう状況をたくさん経験してきたの。そういう環境のなかで育ってきた。残念ながら、イタリアの全員がそうだと思う。当然、私たちとしては、人々にありのままでいることを阻止するようなそういう偏見は、間違っているし、馬鹿げていると思ってる。なので、多くの人たちが私たちのことをお手本にしてくれるようになった今、私たちなら、『ありのままのあなたで良いんだよ』っていうポジティブなメッセージを広められる気がしている。シャイだとかそういうのに関係なく、有名人でも、そういうトピックを話題にすることは難しいことがあるし、自分自身に満足できていないことがあると思う。一般的な10代の子供たちにとっては、お手本にしたり、刺激を受けたりすることをできる人たちを見つけるのがもっと難しいよね。でも、私としては、そういう大切なトピックを話題にしたり、自己肯定感や自信は悪いことじゃなく、良いことだって話したりすることは、多くの人の助けになると思ってる。多くのファンからもそう言ってもらえていて、それは私たちにとってすごく重要なこと」

LGBTQ+の人々に抑圧的な傾向があるポーランドで行なった公演でダミアーノとトーマスが男性同士のキスを披露するなど、LGBTQ+の人々の権利のために積極的に声をあげてきたことについて

ダミアーノ「僕らが声をあげようと思ったのは、ある意味で、自分たち自身がそういうことを経験したことがあるからだよ。僕らには声をあげるだけの知識があると感じたから。今では、コミュニティからたくさんのフィードバックをもらえるまでになった。たくさんのファンが僕らのところに来て、『おかげで両親や友達にカミングアウトできました』とか、『今まで自信がなくて着れずにいた、ずっと着たかったと思っていた服を着ることができました』っていうことを言ってくれるんだ。僕としては、アーティストとしてこんなにも有意義なことはないと感じてる。ゴールドディスクやプラチナディスクのような成果以上に、将来の社会や世代を担っていく若者たちの助けになれることのほうが大切だ。ものすごく大きいことだよ。周囲の人たちから、『素晴らしいことです』って言ってもらえると、自分たちがやっていることに充実感を得られる。もちろん、僕らは褒め言葉をもらうためにやっているわけではないけど、自分たちが音楽以上に有意義なことができているんだなって思えるんだ」

チャリティ音楽フェスティバル「グローバル・シチズン・ライブ(Global Citizen Live)」のパリ公演に出演したことについて

画像1: チャリティ音楽フェスティバル「グローバル・シチズン・ライブ(Global Citizen Live)」のパリ公演に出演したことについて

ダミアーノ「主な理由は2つある。まず1つ目は、もちろん、このイベントが気候変動や不正、女性の権利、平等、環境汚染などの重要なトピックについてのメッセージを発しているから。参加することに大きな意義があるし、僕らにとっても嬉しいこと。それから、偉大なアーティストたちとステージを共にできることがもう1つの理由だよ」

ヴィクトリア「それから、エッフェル塔の前でパフォーマンスできたのも悪くなかったよね(笑)」

 マネスキンは大ヒットアルバム『テアトロ・ディーラ Vol. I』の日本盤が10月13日にリリースされることも決定している。

<リリース情報>

マネスキン
最新シングル「マンマミーア」
配信中

画像2: チャリティ音楽フェスティバル「グローバル・シチズン・ライブ(Global Citizen Live)」のパリ公演に出演したことについて

アルバム『テアトロ・ディーラ Vol.I』
日本盤CD 10月13日リリース

画像3: チャリティ音楽フェスティバル「グローバル・シチズン・ライブ(Global Citizen Live)」のパリ公演に出演したことについて

(フロントロウ編集部)

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