カミラ・カベロ主演の『シンデレラ』で“ジェンダーレス”なフェアリー・ゴッドマザーを演じたことでも話題になった俳優のビリー・ポーターが、ハリー・スタイルズが男性として単独で初めて米Vogue誌の表紙を飾ったことを批判した。(フロントロウ編集部)

ビリー・ポーターが男性として単独で初めて米Vogue誌の表紙を飾ったハリー・スタイルズに言及

 2019年に開催された第91回アカデミー賞授賞式にドレスを着用して出席し、大きな話題を集めた俳優のビリー・ポーター(52)。2013年にトニー賞主演男優賞を受賞した『キンキーブーツ』でドラァグクイーン役を演じたことがあるビリーは、ジェンダーにとらわれないファッションをチョイスしてきたことで知られ、今やファションアイコンの1人としての立ち位置を築いている。

画像: ビリー・ポーターが男性として単独で初めて米Vogue誌の表紙を飾ったハリー・スタイルズに言及

 私生活では2017年にファッションブランドのオーナーを務めるアダム・スミスと同性婚したビリーは今回、英Sunday Timesとのインタビューに応じて、2020年12月号の米Vogueでシンガーで俳優のハリー・スタイルズ(27)が男性としては単独で初めて同誌の表紙を飾ったことに言及した。

 ファッションアイコンでもあるハリーは、以前からステージ上でもフリルのついたシャツを着用したり、臆することなくピンクの洋服を取り入れたり、2019年のメットガラ(METガラ)には、首元にボリューミーなリボン、袖口や胸元にレースがあしらわれたブラックのシースルーのブラウスにパールのピアスを着用して出席したりと、近年まで“女性用”と見なされてきたディティールやカラーリング、小物使いを取り入れた装いを頻繁に着こなして、たびたび話題に。

 米Vogueの表紙では、淡いグレーのレースにギャザー加工を施したグッチ(Gucci)のドレスに同じくグッチのブレザーを羽織ったショットが採用されたほか、誌面では、チェック柄のスカートや、バレリーナのチュチュを彷彿とさせるスカート、胸元が大きく開いたスタイリングを見事に着こなした。

ビリー・ポーターが米Vogue誌に苦言

 黒人のゲイ男性であるビリーは、「状況を一変させたのは私。私自身が、この状況を一変させた。これはエゴではなく、事実。最初にやったのは私で、今では誰もがやっていること」と英Sunday Timesに語り、ハリーのようなジェンダーに捉われないファションを率先して取り入れ、ショービズ界に定着させたのは自分だと主張した。

画像: ビリー・ポーターが米Vogue誌に苦言

 「ファッション業界は、義務のようなものから私を認めてくれたのだと思う。必ずしも私はそれを納得できていないし、その理由がこれ」とした上で、「私が会話を生み出したのに、『Vogue』は、ドレスに身を包んだハリー・スタイルズというストレート(※)の白人男性を(男性としては)初めて表紙に起用した」とビリー。自分よりも先に、白人で現在は俳優のオリヴィア・ワイルドと交際しているハリーが米Vogue誌の表紙に起用されたことに苦言を呈した。

※ハリーは自分自身のセクシャリティを明言しておらず、セクシャリティを決める必要はないというスタンスを貫いている。

 「ハリー・スタイルズのことを引きずり下ろそうとしているわけではない」としつつも、「この新しい議論をレプリゼンテーション」するアイコンとしてハリーを起用したことには疑問があるとビリー。

 「彼は気にかけていないと思う。彼は今流行っているからやっているだけ」とした上で、「私にとっては、これは政治。これは私の人生。私は、オスカーにドレスを着て行っても撃たれないような地位を築くために、人生をかけて闘ってきた。彼はただ、白人で、ストレートであればいいだけ」と続けて語り、黒人のゲイである自分よりも白人男性のほうが優先されていると感じる心境を吐露した。

 現時点でハリーや米Vogueはビリーの発言にリアクションしていない。(フロントロウ編集部)

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