映画『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイクが主演を務め、第78回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞にも輝いた映画『パーフェクト・ケア(原題:I Care A Lot)』は、なぜこの日本語タイトルになったのか?また、原題『I Care A Lot』に込められた意味とは。(フロントロウ編集部)

12月に3週間限定で公開!ロザムンド・パイク主演『パーフェクト・ケア』

 デヴィッド・フィンチャー監督の映画『ゴーン・ガール』で失踪した妻エイミーを怪演し、第87回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど高い評価を獲得した俳優ロザムンド・パイクが第78回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)受賞した映画『パーフェクト・ケア』が12月3日より全国劇場3週間限定上映&デジタル配信開始となる。

 “完璧なケア”で裁判所からの信頼も厚い法定後見人のマーラ・グレイソン(ロザムンド・パイク)。だが、その正体は合法的に高齢者の資産を搾り取る悪徳後見人だった。そんなマーラが次の獲物に定めた資産家の老女ジェニファー(ダイアン・ウィースト)。身寄りがなく格好の餌食となるはずが、なぜか彼女の背後からロシアン・マフィアが現れて…。

監督&ロザムンド・パイクのコメント公開!タイトルが意味するものとは?

 本作のタイトル『I Care A Lot』について、監督のJ.ブレイクソンは「『I Care A Lot』というタイトルは、マーラが医療介護の世界で働いているという事実を反映している」と話す。「でも皮肉なのは、彼女が面倒を見ている人がたくさん(a lot)いるということ。ケアは質ではなく量の問題で、そして彼女は実のところ自分が面倒をみている誰に対しても心を寄せていないんだ」と、拝金主義のマーラが実際にたくさんの高齢者に「質より量」のケアを施しているという、なんとも皮肉的なタイトルであることを語っている。

画像: 監督&ロザムンド・パイクのコメント公開!タイトルが意味するものとは?

 マーラ・グレイソンを怪演したロザムンド・パイクは「彼女は保護すべき老人をたくさん抱えていて、たくさんの福祉介護をしている。でもいろんな点で道徳的に卑劣で、老人たちにとって最善の利益を追求するのではなく、彼らを利用している。また、今の時代によく見られる美徳主義への風刺でもある。人々はすべてのことに気を配っていると思わせることに夢中で、でもさりげなく自分のことも考えている。気の利いた愉快なタイトルだと思うし、無邪気にみえるけど、でも実際にはかなり人を不安にさせるタイトル」と、マーラの道徳感や時代への風刺など、様々な意味を含むタイトルへの印象についても語っている。

SNS上ではネガティブな声も...邦題『パーフェクト・ケア』を紐解く

 『I Care A Lot』が『パーフェクト・ケア』の邦題で日本公開されることが発表されると、SNS上では「待ち望んでいた!」「絶対面白いやつ!」と早くも期待の声が寄せられたが、一方で「美肌化粧品みたいな響きになった」といった邦題に対する少しネガティブなコメントも見受けられた。この日本版タイトルには一体どんな意味が込められているのか。

画像: ©2020, BBP I Care A Lot, LLC. All rights reserved.

©2020, BBP I Care A Lot, LLC. All rights reserved.

 「パーフェクト・ケア=perfect care」は直訳すると「完璧なケア」。この「パーフェクト=完璧」という言葉にはどこか裏を感じさせる怪しい響きがあるが、これは劇中である人物がマーラの仕事ぶりを表現した台詞に手を加えたもの。

 「完璧なケア」をする後見人として裁判所からの信頼も厚いマーラは、表面上は合法的で社会貢献度の高い仕事をしている。しかし、その裏では老人を騙して金儲けをしているのだから、原題の『I Care A Lot』と同様に皮肉が込められたタイトルとなっているというわけ。

 原題『I Care A Lot』にも邦題『パーフェクト・ケア』にも、たっぷりと皮肉が込められている本作では、現代の資本主義社会や後見人ビジネスをシニカルな視点からブラックなトーンで描いている。そんな風刺的な側面も楽しめる、100%共感不能な新感覚クライムサスペンス『パーフェクト・ケア』を、是非とも劇場で楽しんで。

 映画『パーフェクト・ケア』は12月3日(金)より全国劇場にて3週間限定公開、デジタル配信も開始となる。(フロントロウ編集部)

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