「地球に優しいツアー」を発表したコールドプレイ
10月9日付の米Billboardの全米シングルチャートにて、BTSとのコラボ曲「My Universe」で2008年以来となる全米1位を獲得したコールドプレイは、同曲も収録されている通算9作目の最新アルバム『Music Of The Spheres(ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ)』を引っ下げたワールドツアーを2022年に開催予定。
コールドプレイはこのツアーを“地球に優しい”ものにすることを約束しており、2016年〜2017年に行なった前回の『ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』ツアーの時と比較して、二酸化炭素の排出量を50%削減するとしているほか、会場ではほとんどすべての動力を「再生可能エネルギー」でまかなうと発表している。
バンドは他にも、様々な施策に取り組むことを発表しており、会場でのフードについても、環境に優しいものにすることを徹底。クルーのメンバーの食事については、植物由来かつ動物を使わないものにするとしているほか、再生型の農業に取り組んでいる地元農家の食材を使うことや、余剰な食糧は必要としている人たちに届けるためにフードバンクに寄付することなどを発表している。
動物愛護団体のPETAがコールドプレイに提案
会場で来場者に振る舞われるメニューについての詳細は現時点では発表されていないものの、今回、動物愛護団体のPETAはコールドプレイに宛てた公開書簡をホームページにアップ。クリス・マーティン率いる4人に向けて、ツアーで振る舞われる食事はヴィーガンで統一してほしいと呼びかけた。
「皆さんが『ミュージック・オブ・ザ・スフィアーズ』のワールドツアーを可能な限りサステナブルで環境に優しいものにすることを目標にしているということを耳にした時、世界中の多くの人たちと同じように、私たちも嬉しく思いました」と公開書簡を始めたPETAは、ヴィーガン・フードを取り入れることはコールドプレイが目標としている環境保護にも繋がるとして、次のように続けた。
「ご存知かもしれませんが、畜産業は地球が直面している深刻な環境問題の多くに寄与しています。ある予測によれば、畜産業は航空業界と自動車業界の合計よりも多くの温室効果ガスを発生させているというデータもあり、このような理由で、オックスフォード大学のジョセフ・プーア博士は、ヴィーガンが地球への影響を削減することのできる『シンプルかつ最大の手段』だと結論づけています。食肉のために動物たちを飼育することもまた、大量の水と穀物を必要とします。これらは世界の多くの地域で不足しているものであり、アマゾンの森林破壊の80%は食肉のために牛たちを飼育していることと関連しています」
「世界中には美味しいヴィーガンの選択肢が多分にあるので、ヴィーガンの食事を取り入れることはかつてないほど容易になっています。最大の利点としては、ヴィーガンの食事に変えることで、食事に関連したカーボン・フットプリント(※)を1人あたり最大で73%削減できるほか、年間で200匹の動物を惨めな生活や恐ろしい死から救うことができるのです」
※カーボン・フットプリント:商品やサービスなどの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでに排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したもの。
PETAは公開書簡を次のように締め括っている。「コンサート会場から有害な動物由来の食品をカットするのは容易だということに、同意していただけたら幸いです。必要であれば、私たちは喜んでワールドクラスのヴィーガン・シェフを皆さんに紹介します」。
コールドプレイは現時点ではPETAからの提言に反応を示していない。(フロントロウ編集部)