マネスキン（Måneskin）「自由」を追求する新時代のバンドに世界中が熱狂中

イタリア発「マネスキン」に世界各国で黄色い歓声

　イタリア発のロックバンドであるマネスキンは、10月にバンド初となるUSプロモーションを実施。NYやLAでの公演がソールドアウトとなったうえ、有名トーク番組『ザ・トゥナイト・ショー』で米テレビデビュー。ハリウッド名声の歩道で行なわれたグッチの100周年イベントGucci Love Paradeに参加したほか、ラスベガスではローリング・ストーンズの公演にオープニングアクトとして招かれと、まさに人気が大爆発している。

　そんなマネスキンは、シングル「Beggin’（ベギン）」で初めて米シングルチャート入り。こちらは、記事執筆時点（チャートイン19週）で13位と高順位を推移中。さらにラジオ局での再生回数からなる米Airplayチャートでは、ロック＆オルタナティブ部門1位を獲得しただけでなくポップ部門でもランクイン。イタリア発のアーティストがここまで世界の音楽シーンでブレイクするのは異例だが、マネスキンはそれに加え、ロックをメインストリームで再熱させるという新たなブームを巻き起こしている。

そもそもマネスキンって誰？ バンドの経歴を紹介

　学生時代からの知り合いであるメンバーによって2016年に正式結成された4人組バンドのマネスキンは、地元ローマでの路上ライブでスキルを磨いたあと、2017年にイタリア版『Xファクター』に出場。これがきっかけでレコード契約を手に入れたバンドは、番組内で披露したオリジナルソング「Chosen（チョーズン）」でいきなり伊シングルチャート2位を獲得。

　その後もイタリア国内でヒットを連発すると、2021年に伊サンレモ音楽祭で大賞を受賞した結果、約2億人が視聴するヨーロッパ最大の音楽の祭典“ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト 2021”のイタリア代表に選出され、なんとイタリア勢として31年ぶりに優勝！ イベントで披露した「Zitti E Buoni（ジッティ・エ・ブオーニ）」は優勝後わずか1日でSpotifyで400万回近くストリーミングされ、イタリアの楽曲として史上最多の再生回数を記録した。

　ユーロヴィジョンがきっかけで世界レベルで注目を浴びたマネスキンは、2021年にセカンドアルバム『テアトロ・ディーラ:Vol. I』をリリース。そして2022年はヨーロッパツアーが発表されているのだが、ロンドン、パリ、ベルリンなど各地ですでにソールドアウト状態。この脅威的なブレイクについてグループは、「思いがけないことだったけど、いつも頑張ってやってきたことが達成できた気がする」と日本向けインタビューで語った。

ユーロヴィジョン2021でのパフォーマンス

「自由」をバラまきにやってきた！マネスキンのここが魅力

　マネスキンのアーティスト性の真髄にあるのは「自由とロックンロール」。社会が何と言おうと、好きな服を着て、好きな人を愛して、好きな夢を追って、堂々と自分らしくいることを思い出させてくれる！

1. これぞ新時代のファッショニスタたち

　多様な素材やシルエットを着回すダミアーノ（vo）を中心に、メンズのテーラードも着るヴィクトリア（b）、グラムロック・スタイルが得意なトーマス（g）、美脚が引き立つハイウェストのブーツカット好きなイーサン（ds）と、確固たるスタイルを持つマネスキンのメンバーたち。ファッションで“自由”を追求する彼らのジェンダーを超越したスタイルにはファッション界もラブコールを送っており、2021年にはGucciのAriaキャンペーンの広告塔に抜擢された。

2. カリスマ性あふれるメンバーたち

ダミアーノ・デイヴィッド（ヴォーカル）

キング・オブ・マネスキンの異名を持つダミアーノ。ステージ上では、大胆不敵で予想不能な行動と、エロスたっぷりなオーラ、そしてソウルフルな声で観客を惹きつける唯一無二のヴォーカル。ただ、素顔は思いやりのある優しいタイプ。長期交際している彼女（インフルエンサーのジョージア・ソレリ）がいる。趣味はバスケットボール。

“自分たちの音楽をやりたい。他人の意見はどうでもいいし、自分らしく、本物であり続ける。そしてみんなにも自分らしくあるようにというメッセージを発信したい”ーダミアーノ、wiwibloggsより

ヴィクトリア・デ・アンジェリス（ベース）

ヴィクトリアの強烈でアグレッシヴなパフォーマンスを一度見れば、惚れるはず。他のメンバーと一緒に上半身裸でパフォーマンスすることも多いヴィクトリアは、6歳の頃から社会の古い考えやステレオタイプに反発し続けていることを伊Elleで明かした。趣味はスケートボード。

“男の子と女の子の厳格な区別が、私にはしっくりこなかった。6歳のとき、私は「女性的なもの」をすべて拒否するようになったの。スケートボードに乗り、髪を短くして、ボーイッシュな格好をして。スカートを履かなかったのは、スカートが嫌いだったからではなく、自分らしさを主張したかったから。ロックはそんな自由の爆発を体現している”ーヴィクトリア、伊Elleより

トーマス・ラッジ（ギター）

おふざけ好きなメンバーが多いマネスキンの中でも、とくにハイテンションなトーマス。ただ、楽器のことになると超真面目で、昔から仲が良いヴィクトリアとのステージでの相性も抜群。落ち着いたキャラのイーサンにイタズラを仕掛けてはメンバーを笑わせる、グループ最年少。音楽以外に趣味はなくて、ギターひと筋。

“自分の楽器を勉強して、より表現力を高め、楽器に慣れ親しむことが大切”ートーマス、米AP通信より

イーサン・トルキオ（ドラム）

インタビューやファン対応のときに見せる静かな優しさと、強靭な腕でドラムを叩くときのワイルドさのギャップにやられるファン多数。他の3人の大騒ぎを冷静に見守る姿がたびたび目撃され、そんなイーサンをバンドの「mom（お母さん）」と呼ぶファンも。趣味は映画鑑賞。

“自分自身が表現されていると感じることをするのがアートだ”ーイーサン、Alternative Pressより

3. マネスキン節が連発の音楽的メッセージ

　ロック、ラップ、ヒップホップ、レゲエ、ファンクの要素を多彩に織り交ぜたマネスキンが楽曲で叫ぶのは、絶対的な自由。好きに歌って、好きに着飾って、好きに恋愛するというマネスキンの人生観が楽曲にぶつけられている。

　ロックのみならずポップチャートにも受け入れられているマネスキンには、“ロックを復活させている”という意見もあれば、“ポップすぎる”という意見もある。しかし、他人の意見に左右されずに生きることがモットーのマネスキンにとってはどちらの意見もどうでもいいそうで、ダミアーノは「ロックを復活させたいなんて考えていない。自分の音楽をやってどこに向かうかを見るだけ」とLoudwireでコメント。さらに、「（ファンやレーベルは）自分たちのことを理解してくれて、自分らしくいることを受け入れてくれている。それこそ、自分たちにとって最も価値のあること」と語った。

マネスキンの代表曲

社会の古い考えや決められたレールからの解放を歌った「ジッティ・エ・ブオーニ（意味：黙ってイイ子にしてな）」。

ひとつのタイプに縛られずに悪い男にもブロンドガールにもなりたいという多面性を歌った「アイ・ワナ・ビー・ユア・スレイヴ（意味：君の奴隷になりたい）」。

バンドを取り巻く環境が大きく変化しても、“自分自身は変わらない”というメッセージが込められた「マンマミーア（意味：何てこった）」。

4. 電流が走るようなパフォーマンス

　パフォーマンスでも「自由」というメッセージを発信し続けているマネスキン。ヴォーカルのダミアーノは、モッシュピットにダイヴすることもあれば、ピンヒールを穿いてポールダンスを見せることもありと、ワイルドでエロティックなパフォーマンスで会場を総立ちにさせるエネルギーを持つ。LGBTQ+に差別的な法律が導入されたポーランドでライヴを行なった時には、それへの抗議としてダミアーノがトーマスにキスをして大きな話題になった。

5. 愛とリアルに溢れたファンサービス

　本能むき出しの自由でワイルドなパフォーマンスからは一点、「ステージの外ではロックスターではない」とbandwagonに語るマネスキンは、ファンと友達のように接するグループ。危険がない限りは出待ちのファンのために足を止めないことはほぼなく、笑顔でサインや写真撮影のお願いに応え、時には話しこんでしまいすごい人だかりになってしまうことも。

　世界を魅了し始めているマネスキンは、これから2022年に向けてさらに人気を拡大して音楽界を盛り上げてくれそうな予感！

＜マネスキン作品紹介＞

■最新曲
「マンマミーア」
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■セカンドアルバム
『テアトロ・ディーラ Vol. I | Teatro d’lra Vol. I』
2021年3月17日（日本盤は10月13日）リリース
ストリーミング/ダウンロード/CD購入はコチラ

【収録曲】
1. ジッティ・エ・ブオーニ | ZITTI E BUONI
2. コラリーン | CORALINE
3. リヴィディ・スイ・ゴミティ | LIVIDI SUI GOMITI
4. アイ・ワナ・ビー・ユア・スレイヴ | I WANNA BE YOUR SLAVE
5. イン・ノーメ・デル・パードレ | IN NOME DEL PADRE
6. フォー・ユア・ラヴ | FOR YOUR LOVE
7. ラ・パウーラ・デル・ブイオ | LA PAURA DEL BUIO
8. ヴェンタンニ | VENT'ANNI
日本盤ボーナス・トラック
9. アイ・ワナ・ビー・ユア・スレイヴ（イギー・ポップ＆マネスキン）
I WANNA BE YOUR SLAVE（IGGY POP & MÅNESKIN）

■ファーストアルバム
『イル・バッロ・デッラ・ヴィータ | Il Ballo Della Vita』
2018年10月26日リリース
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【収録曲】
1. New Song
2. Torna a casa
3. L'altra dimensione
4. Sh*t Blvd
5. Fear for Nobody
6. Le parole lontane
7. Immortale
8. Lasciami stare
9. Are You Ready?
10. Close to the Top
11. Niente da dire
12. Morirò da Re

■ファーストEP
『チョーズン | Chosen』
2017年12月25日リリース
ストリーミング/ダウンロードはコチラ

【収録曲】
1.Chosen
2.Recovery
3.Vengo dalla luna
4.Beggin'
5.Let's Get It Started
6.Somebody Told Me
7.You Need Me, I Don't Need You

Photos: ゲッティイメージズ、スプラッシュ／アフロ、Instagram

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（フロントロウ編集部）