アリッサ・ミラノ、流産の苦悩
映画『コマンドー』やドラマ『チャームド〜魔女3姉妹〜』への出演で知られ、ハリウッドにおける女性差別に声をあげる「MeToo」ムーブメントを広げたことでも知られるアリッサ・ミラノが、過去に2回の流産を経験していたことを明かした。
流産を経験した女性は自分を責めてしまうことも多く、アリッサも同様だったという。そしてさらに彼女は、その流産は、自身が20代の頃に中絶をしたことの罰だと考えていたという。ポッドキャスト番組『Me Becoming Mom』で、こう話した。
「『そうだよね。私は、20代で中絶をした罰を受けてるんだ』って思ったことは、もちろんある。セラピーに通って、そうやって自分で自分に(重荷を)課してしまっていると気づくまでに、時間はかかった」
アリッサは1993年に1年で2回の中絶を経験したことを、2019年に自身のポッドキャスト番組で告白。避妊をしていたが、妊娠したという。
アリッサと彼女の夫の間には、その後2011年に第1子が、2014年に第2子が誕生している。
中絶は流産に繋がる?
アリッサは、中絶の経験が流産を引き起こしたと考えたわけではなく、中絶を経験した“罰”だと感じていた様子だが、中絶という処置がその後の流産や不妊を引き起こすのではないかという不安に直面したことのある女性は少なくない。
しかし、米NPO団体のPlanned Parenthoodは、「安全で、合併症のない、合法の中絶」は、その後の妊娠において、流産や難産、早産、新生児の障がいや未熟児の可能性を“高めない”と発表している。
一方で、合併症や感染症、医師の手術ミスによって、次の妊娠がしづらくなる可能性はゼロではないため、中絶を受ける病院選びは大事。
また、日本では、WHOが推奨する手動真空吸引法(MVA)すらも2015年にやっと認可されたのが現実。そのため、金属製の細長い器具を子宮口から入れて、子宮内の妊娠組織を全体的にかき出す搔爬(そうは)法がいまだに主流となっていると見られている。
WHOは搔爬法を「時代遅れの外科的中絶方法であり、真空吸引法または薬剤による中絶方法に切り替えるべき」としており、搔爬法では子宮内膜の損傷や子宮穿孔などの合併症の頻度が吸引法に比べ2~3倍高いとしている。
経口中絶薬は60ヵ国以上で使用されているが、日本ではいまだに認可すらされていない。WHOは経口中絶薬を必須医薬品に指定している。
流産は多くの女性が経験している
また、流産は珍しいことではない。日本産婦人科学会によると、医療機関で確認された妊娠の15%前後が流産になるという。また、妊娠した女性の約40%が流産しているとの報告もあるそう。
流産の原因として多いのは赤ちゃん自体の染色体等の異常だそうで、学会は「受精の瞬間に流産の運命が決まることがほとんど」だとしており、女性が責任を感じる必要はない。
流産の経験を明かしているセレブも多く、シンガーのビヨンセやホールジー、俳優のヒラリー・バートンやシェイ・ミッチェルなどが、その経験についての思いを語ってきた。
中絶は女性の権利
中絶や流産といった話は、タブーであるべきではないにもかかわらずタブー視されており、女性の間でも正しい情報がシェアされていないことがある。
しかし、望まない妊娠をしたかもしれないという苦悩や絶望、そして中絶というすべての女性にとって苦しい決断が社会から隠されることは、実際に女性がそういった問題に直面した時に、彼女たちをさらに孤独な立場に追い込む。
最近ではそういった社会の形を変えるために、過去に中絶を経験していることを明かす女性も増えており、俳優のミラ・ジョヴォヴィッチやウーピー・ゴールドバーグ、ユマ・サーマン、ナヤ・リヴェラ、そしてビジー・フィリップズなどが、自身の経験をシェア。ナヤは、妊娠とキャリアの狭間で悩んでいる女性たちが、何らかの結論を導き出す手助けになればと考えて公表したと話した。
アリッサは1年に2度の中絶を経験したことについて、過去に、「妊娠を終えるという正しい決断をした」と話している。
(フロントロウ編集部)