障がいを持つ人を含むすべての人が使いやすい美容製品の開発が進む海外で、ここ最近注目を集めているのが、視覚障がいを持つ美容系のインフルエンサー。美容業界に一石を投じる、視覚障がいを持つインフルエンサーの活躍をご紹介。(フロントロウ編集部)

視覚障がいを持つ美容インフルエンサーが海外で注目

 さまざまな人が活躍するSNSで、ここ最近日本でも増えているのが障がいを持つインフルエンサー。TikTokやYoutubeなどの動画を通じて、障がいを持つ当事者ならではの視点で発信を行なう人が増えている。

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 そんななか海外では、視覚に障がいを持つ美容系のインフルエンサーが注目を集めている。

 世界保健機関のWHOによると、目が見えない、もしくは見えにくいなど視覚に何らかの障がいを持つ人は推計2億人にものぼるという。美容業界では視覚障がいを持つ人に向けて、製品パッケージに点字を施すなどの改革が推進され始めているけれど、メイクやコスメ選びにおいてまだまだ苦労するところが多いのが現実。

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 そんな視覚障がい者ならではの視点で、日々の美容ルーティンの苦労や工夫をリアルな声で発信しているのが、視覚障がいを持つ美容系のインフルエンサー。初めて見る人でも、そんな苦労があるんだと勉強になる内容の動画やコンテンツを投稿する視覚障がい者の美容系インフルエンサーは、美容業界全体にも多大な影響を与えるようになってきている。

 実際にどんな活躍を見せているのか、視覚障がいを持つ有名インフルエンサーが起こした変化や影響力の高さをご紹介。

SNSを通じてリアルを発信

 視覚障がいを持つインフルエンサーに共通しているのが、目が見えない状態でどんな風にメイクをしているかなど、これまで大々的に発信されることが少なかったリアルな姿を発信していること。その代表的な存在の1人が、約200万人ものチャンネル登録者数を誇る超人気Youtuberのモリー・バーク。

 4歳の頃に網膜色素変性症と診断され、14歳頃にほとんどの視力を失ったというモリーは、Youtube動画を通じて美容コンテンツをはじめ、Vlogやエクササイズ動画なども積極的に発信。モリーの動画では、視覚障がいを持つ人がメイクのどんな部分に苦労しているかが分かりやすくまとめられているため、ビューティブランドからの注目度も高いという。さらに数々の有名メディアからも注目されるモリーは、これまで米Vogueや米Glamour、米Allureなど多くのメディアのインタビューに登場している。

 米メディアAllureのYoutubeチャンネルに投稿された動画では、モリーが使いやすいコスメと使いにくいコスメの違いを詳しく解説し、再生回数はなんと200万回超え。

 パッケージのデザインは、プリントではなくエンボス加工など凸凹感があるほうが感触で覚えやすいこと、リップの場合はマットやツヤなどの質感がパッケージの質感と一致していると分かりやすいこと、香りのあるコスメは目が見えなくても香りで覚えられることなど、視覚障がいを持つ人が使いやすいコスメとはどんなものかが詳しく紹介されていて、勉強になると高く評価されている。

 SNSで視覚障がいを持つ人のリアルを発信しているインフルエンサーは増えていて、エリン・ウィリアムズもその1人。エリンは、主にブログを通じて使いやすいコスメや使いにくいコスメを積極的に発信。そのほかにも、美容やファッションのブランドに求めることについてブログやインスタグラム、メディアのインタビューで訴えるなど、精力的に活動を行なっている。

コスメブランドの広告塔に起用

 コスメブランドのGucci Beautyの広告塔にはじめてダウン症のモデルが起用されるなど、美容ブランドのキャスティングにも多様性が生まれるなか、コスメブランドのCovergirlでは、史上初めて視覚障がいを持つインフルエンサーが広告塔に就任。

 そのインフルエンサーとは、TikTokのフォロワー数が170万人を超えるルーシー・エドワーズ。11歳の頃に右目の視力を、17歳の頃に左目の視力を失ったルーシーは、妹の助けを借りてメイクを練習し、7年前にYoutubeに投稿したメイク動画が大ヒット。一躍有名インフルエンサーとなり、コスメブランドのCovergirlのアンバサダーに選ばれた。そのほかにもルーシーは、英有名ラジオ放送局のBBC Radio 1でラジオのパーソナリティーを務めるなど、多岐にわたって活躍している。

 聴覚障がいを持つインフルエンサーでブランドの広告塔に選ばれたのはルーシーだけでなく、モリーは2019年よりアメリカンイーグルのブランドAerieのアンバサダーに就任。ブランドのキャンペーンビジュアルや動画などに登場している。

開発にも当事者目線でアドバイス

 ここ最近海外では、障がいを持つ人も使いやすい製品を開発するために、開発のチームに障がいを持つ当事者を入れることが少しずつ増えており、インフルエンサーであるルーシーも製品開発に携わっている。

 ルーシーは、今年10月にヘアケアブランドのパンテーンとパートナーシップを締結し、新しいアンバサダーに就任。製品を宣伝するだけでなく、視覚障がいを持つ人でも使いやすいパッケージの開発のほか、より包括的なブランドとなるようアドバイスなどを行なっていく予定だそう。

 ちなみにパンテーンは最近、視覚障がい者を支援する最先端技術である「NaviLens(ナビレンズ)」を導入した製品パッケージも開発中。実現すれば、店舗でスマホを使ってスキャンするだけで音声ガイダンスが聞けるため、障がいを持つユーザーも買い物がしやすくなるのだという。ルーシーはNaviLensについて、「初めて試したとき、あまりに嬉しくて突然泣いてしまった。視力を失ってから自力で店舗で製品を見つけられたことがなかったから」と英Glamourで語っている。

 海外で活躍する視覚障がいを持つインフルエンサー。TikTokやYoutubeの動画は、英語が分からなくても伝わるものも多いので、気になる人はぜひチェックしてみて。(フロントロウ編集部)

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