ファンが多い悪役のT-1000
1984年に公開され、その後大ヒットシリーズとなった映画『ターミネーター』。その7年後に公開された『ターミネーター2』は、1作目では悪役だったアーノルド・シュワルツェネッガー演じるターミネーターのT-800が味方となり、エドワード・ファーロング演じるジョン・コナーやリンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーとともに戦った。
その戦った相手というのが、ロバート・パトリック演じるT-1000。
『ターミネーター2』はシリーズのなかでも最も人気・評価が高いといっても過言ではないが、その理由の1つには彼の存在があるだろう。しかしじつは、T-1000には元々ロバートではない人物が有力候補としてあがっていたのを知っているだろうか。
それは俳優でもなく、ロックミュージシャンのビリー・アイドル!
ロバートは過去に、米THRにこう明かしている。
「私が知るかぎりでは、ビリー・アイドルがT-1000を演じる予定だった。私があの役に決まり、(特殊メイクアーティストの)スタン・ウィンストンの元を訪れた時、そこでビリーの写真を見たことは言える。残念ながら、彼はバイクの事故で脚を負傷した。だから、彼はあの役が必要とすることを身体的にすることができなかったんだ」
事故で脚を負傷したビリー・アイドル
1970年代から90年代にかけて世界的に人気を博したビリーは、1990年に、脚を失いかけるほどの交通事故に遭った。そのため、1991年公開の『ターミネーター2』にT-1000として出演することは叶わなかったのだ。
ちなみに、ビリーはこの事故によって、メインキャストで出演するはずだったオリバー・ストーン監督による映画『ドアーズ』内での役柄が変更になるという経験もしている。
ミュージシャンが俳優として強烈な存在感を残したものといえば、デイヴィッド・リンチ監督による1984年の映画『デューン/砂の惑星』でスティングが演じた悪役のフェイド・ラウサや、1976年の映画『地球に落ちて来た男』でデヴィッド・ボウイが演じたトーマス・ジェローム・ニュートンなどが有名。
ビリーによるT-1000も見てみたかったと思ってしまうが、ロバートによるT-1000も映画史に残る悪役となっており、ビリー本人も過去に、ロバートでなければあの悪役は演じられなかったのではないかとコメントしている。
そんなロバートは、“あの視線”で役を射止めたそうで、「私のエージェントはキャスティングディレクター(マリ・フィン)に、私はデヴィッド・ボウイとジェームズ・ディーンを混ぜた感じ、と言って売りこんだんだ(笑)。だから、マリと同席した時には、激しい存在感を作り出そうと努力したよ。強い視線を見せて、彼女はそれを気に入った」と振り返った。
(フロントロウ編集部)