ラッパーのロジックによる、アメリカの自殺防止対策ホットラインがタイトルになったヒット曲「1-800-273-8255」が、大勢の若者たちを救っていたとするデータが発表された。(フロントロウ編集部)

自殺防止対策ホットラインがタイトルになった「1-800-273-8255」

 アメリカの自殺防止ホットラインをタイトルにつけたことが話題になった、ラッパーのロジックによる2017年リリースのヒット曲「1-800-273-8255」。

 シンガーのカリードとアレッシア・カーラがフィーチャリングで参加したこの曲で描かれるのは、「生きていたくない」と歌う、気分が沈んで自殺願望を抱いてしまった歌い手が、周囲の声にも励まされながら少しずつ前を向いていくという物語。

 「1-800-273-8255」にはリリース当初から大きな反響があり、曲を聴いた人がタイトルを見てそのまま電話できるということもあって、2017年8月にロジックがMTVビデオミュージック・アワードでこの曲をパフォーマンスした直後には、ホットラインへの電話が通常よりも50%増加したというデータが示されていた。

 今回、この楽曲が人々に与えた影響について詳細を分析した研究結果が新たに発表されて、実際に数百人の自殺を未然に防いでいたことを示すデータが公表された。

ロジック「1-800-273-8255」の影響を追った研究結果が発表に

 英国医師会が発行する医学誌BMJに現地時間12月13日に掲載された論文によれば、「1-800-273-8255」は、(1)2017年4月の楽曲リリース後34日間、(2)2017年8月のMTVビデオミュージック・アワードでのパフォーマンス後、(3)2018年1月のグラミー賞授賞式でのパフォーマンス後の3つの期間で、ホットラインへの電話を約1万件増加させたほか、この期間に10歳〜19歳の自殺率を5.5%減少させたという。

 また、「1-800-273-8255」のリリース後28日間で、Googleでのホットラインの検索数が10%増加したというデータも示されている。

 ロジックは研究結果が発表されたことを受けて、「(『1-800-273-8255』のリリースよりも以前に)自分の音楽が実際に人々の命に影響を与えていたことを知ったんだ。それこそ、僕があの曲を作ったインスピレーションだった。人々を救いたいという、僕らの心の温かい場所で誕生したものなんだ。それを実現させることができて、本当に驚いているよ」と米CNNにコメントを寄せた。

 論文では、ロジックの「1-800-273-8255」は245人を自殺から救ったと見積もられている。「ロジックの楽曲『1-800-273-8255』はライフラインへの電話の大幅な増加と関連していました。自殺の減少は、この楽曲についてソーシャルメディアで最も言及されていた時期に起きていたのです」と論文には記されている。

 「1-800-273-8255」では次のように歌われている。「生きていてほしい/死んじゃダメだよ、今日/死んじゃいけない/生きていてほしい」

悩みを抱えて相談を必要としている方へ
日本いのちの電話連盟
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www.inochinodenwa.org

(フロントロウ編集部)

 

 

 

 

 

 

 

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