今話題の「メタバース」は美容でもキーワードに
日本でも徐々に話題になっている「メタバース」とは、ネット上に構築される三次元の仮想空間や、そこでコミュニケーションが行なえるサービスなどを指す言葉。「meta(超越)」と「universe(宇宙)」を組み合わせた造語で、今後は現実世界に限りなく近い形で活動できる、より巨大なプラットフォームになることが予想されている。
そんなメタバースにはファッションやエンタメ、旅行などさまざまな業界の企業が参入しているけれど、じつはビューティ業界も続々と参入を表明。
とくに海外では多くの美容ブランドが、メタバースの構築に向けた序章であるVRショップの充実やメタバースのプラットフォームとの提携、メタバースを活用した新しいプロモーションなどに力を入れている。実際にどんなコンテンツがあるのか、美容ブランドが注力するメタバース事業をご紹介。
これまでの常識を超えた「バーチャルストア」が増加
海外で数年前から急激に増えているのが、コスメが買える「バーチャルストア」。バーチャルストアとは、VRやAR、MR技術などによって仮想空間で購入体験ができる店舗のこと。
なかでもメイクアップアーティストのシャーロット・ティルブリーが手掛けるコスメブランドCharlotte Tilburyは、バーチャルストアのブームを牽引していると海外で一目置かれる存在。同ブランドのバーチャルストアは、仮想空間の中で宝探しをしてクリアすることで限定アイテムが購入できる機能や、友達とビデオチャットをしながら一緒にショッピングができる機能を導入。そして今年中には、アバターをつくってショップ内を歩ける機能を追加し、より本格的なメタバースを構築する予定だと発表している。
美容ブランドが提案するのは、製品を購入するだけではない。海外では、百貨店のビューティカウンターのように肌診断を体験できるバーチャルストアまで登場している。カリフォルニア発のスキンケアブランドであるダーマロジカのバーチャルストアがその代表的なもの。
ダーマロジカのバーチャルストアでは、無料でできる肌の分析をはじめ、専門家からのアドバイスなどが受けられるコンテンツやフェイシャリストの施術を観察できるコンテンツまで充実。今まで店舗に行かなければ受けられなかったさまざまなサービスや体験を、自宅にいながら楽しむことができる。
コスメブランドがアバターを作成できるプラットフォームとコラボ
メタバースでは、自分の分身でもあるアバターを仮想空間の中で自由に動かすのも楽しみのひとつ。最近ではアバターを作成できるメタバースのプラットフォームと、現実世界に存在する美容ブランドのコラボも目立ってきている。
コスメブランドのNARSは昨年、好きなアバターに変身して交流ができる韓国発の大手メタバースプラットフォーム「ZEPETO」とパートナーシップを提携。ZEPETOの自分のアバターに、NARSのデジタルメーキャップルックを着用させることができ、バーチャルフォト/ビデオブースなどで遊ばせることも可能。「ZEPETO」で作成したアバターは、今後NARSがローンチ予定のバーチャルコンテンツと連動させることも想定しているそう。
ちなみに「ZEPETO」は現在2.5億人以上のユーザーが登録していて、グッチやクリスチャン ルブタン、アディダスなど多くのファッションブランドともコラボを果たしている。
展示会までもメタバース上で開催
美容業界では、トレンドを左右する大型の展示会でもメタバースが活用され始めている。日本でも人気のカメラアプリ「YouCam メイク」を展開する台湾発のグローバル企業であるパーフェクト株式会社は、毎年ラスベガスで開催される世界最大級の電子機器展示会「ザ・インターナショナル・コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」に、メタバース空間での美容ブースを出展。
ビューティ業界に特化したAI&ARショッピング機能や、AI肌診断機能、メイクアップ、ヘアカラー、ネイルなどのバーチャル試着体験ができる機能を、3Dのバーチャルブースにて展示。会場に行かなくても、最新の技術が体感できると話題を呼んだ。
ビューティ業界でも注目を集めるメタバース事業。今回紹介したコンテンツは、日本語対応ではないものが多いけれど、日本からでも見られるので気になる人はチェックしてみて。(フロントロウ編集部)