ジェームズ・キャメロン監督、不朽の名作『ターミネーター』
映画『ターミネーター』は、未来で繰り広げられる人類と機械との果てしない闘いを描いたSF大作。1984年にジェームズ・キャメロン監督によって第1作目が生み出され、現在までに全6作品が公開されている。
1991年に公開された『ターミネーター2』は、そんなシリーズの中でも特に人気の高い作品。キャメロン監督、T-800役のアーノルド・シュワルツェネッガー、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトンというおなじみのメンバーに加え、ジョン・コナー役のエドワード・ファーロング、T-1000役のロバート・パトリックなど、本シリーズの“顔”ともいえるキャストが勢ぞろいした。
「液体金属」でできたT-1000
本作に登場したT-1000は、自由自在に形を変えることができる“液体金属”という物質で作られている。そのため、外部からの衝撃には非常に強く、サラたちも苦戦させられることに。T-1000は身体を切り裂かれても、弾丸を浴びせられても難なく再生し、圧倒的な攻撃力を誇っていた。
そんなT-1000にはいくつかの印象的なシーンがあるが、その中で注目していただきたいのが、彼が銃で撃たれるシーン。時には身体に大きな風穴があき、金属がえぐられたような弾痕が残っていたが、実はCGで作られたものではない。
T-1000のCGではなかったシーン
そのシーンの制作をしたのは、映画『遊星からの物体X』や『アイアンマン』などでも特殊効果を手掛けたスタン・ウィンストン。
彼はこの効果を作り出すために、何週間にもわたって泥にペレット(空気銃の弾)を撃ち込み、その衝撃でできたスプラッシュ模様を観察。このスプラッシュ模様を様々なパターンやサイズで複製し、そこに、花が開くように開閉する「アイライジング」という仕掛けをつけて、操作ひとつで銀色の弾痕が開いたり閉じたりする機械を作り出した。
撮影では、T-1000を演じたロバート・パトリックがこの仕掛けがついたグラスファイバーの胸板を衣装の下に身に着けて、合図に合わせてスタッフがアイライジングを作動させることで、CGを使わずにリアルな弾痕を映像に入れることに成功した。
スタン・ウィンストンは2008年に骨髄腫により62歳でこの世を去ったが、彼の特撮技術を後世に伝えるためのオンラインスクール「スタン・ウィンストン スクール」がその器具のテスト映像を公式インスタグラムに公開。
まるで本当に弾丸が撃ち込まれたかのように広がるその仕掛けが映し出される映像は、非常に衝撃的!アイライジングの仕掛けは、こちらの映像でも確認できる。
多くのファンに驚きを与えたこのシーンは、特殊効果を手掛けたスタンの地道な努力から生み出されていたものだった。(フロントロウ編集部)