アヴリル・ラヴィーンがニューアルバム『ラヴ・サックス』をリリース
アヴリル・ラヴィーンがニューアルバム『ラヴ・サックス』を2月25日にリリースした。
前作『ヘッド・アバーヴ・ウォーター』以来、およそ3年ぶりとなる7枚目のアルバム『ラヴ・サックス』は、アヴリルがブリンク182のドラマーであるトラヴィス・バーカーが主宰するDTAに移籍してからは初となるアルバム。
アヴリルにとって、本作は初期の頃のポップパンクに原点回帰した作品となっていて、ポップパンクの再ブームを牽引するトラヴィスが全面的にプロデュースを手掛けているほか、プロデューサーのジョン・フェルドマンを筆頭に、コラのレーターのマシン・ガン・ケリーやブリンク 182のマーク・ホッパス、ブラックベアーら豪華な制作陣が脇を固めている。
今年でデビューから20周年を迎えるアヴリルだが、このタイミングでポップパンクに再び舵を切ったのにはどのような背景があるのだろうか? 今回到着したオフィシャルインタビューでは、アルバム『ラヴ・サックス』についてはもちろん、ポップパンクの再ブームについてや、20周年を迎えた心境などが語られている。
アヴリル・ラヴィーンのインタビューが到着
ニュー・アルバム『ラヴ・サックス』の制作は、いつごろから、どのような構想のもとでスタートしていたのでしょうか? パンデミック最中だったと思いますが、どのような心境でしたか?
「2020年の11月あたりから取り組んでいた気がします。パンデミック中には曲を書いたり、色々な創作活動に従事したりして、どんな感じになるか、色々と試していました。それが自然と、自分がずっと好きだったものをやる方向性になっていったという感じで。一枚を通してロックンロールなアルバムを作りたいと思うようになりました。これらの曲をツアーに持っていって、ライヴで楽しく演奏できたらって。アルバムはとてもアップテンポで、ポップパンクなヴァイヴに溢れていて、最初から最後までポップパンクでオルタナティブな作品になっています」
確かに今作は全編アップビートなロックンロールで統一され、特にあなたのルーツであるポップパンクに回帰する、非常にスペシャルなアルバムになりました。今、こういうアルバムを作りたいと思ったのはなぜでしょう?
「うーん、どうしてだろう? 分からないですけど、トラヴィス・バーカーと話していて、スタジオでレコーディングをしよう、ということになったんです。その結果、ジョン・フェルドマンをはじめとしたクールな人たちと仕事ができることになったという感じで。マシン・ガン・ケリーや、ブラックベアーやブリンク182のマーク・ホッパスなどとのコラボレーションもできました」
「最初から最後までオルタナティブでロックなアルバムを作りたくて。前作のアルバム(『ヘッド・アバーヴ・ウォーター』)がとてもディープで、バラード曲が多くて、エモーショナルな作品になったので、このアルバムではとにかくロックして、楽しみたかったんです。高校生の時に好きで聴いて育ったものが、ブリンク182、オフスプリング、アラニス・モリセット、グー・グー・ドールズなどのロックっぽいものだったので、自分の持っていたルーツに戻ったという感じですね。ヘヴィーなギターがいっぱい入っていますし。『ヘッド・アバーヴ・ウォーター』のようなアルバムの後に、こういったアルバムで楽しめたのはよかったです」
「このアルバムは、『ラヴ・サックス』というタイトルで、なぜそういうタイトルにしたかというと、アルバム作り始めた当初、そういう気分だったからです。恋愛から少し距離を置いて、自分自身に集中していく必要があって。恋にうんざりしてしまった、というか、少し休憩をとって、自分自身に時間を割きたいと思いました。そういった領域に触れる内容の曲を書きました。自分が恋愛で経験したことや、愛の中で気持ちが上下していくようなことについて歌っています。でも、音楽的には軽くて、楽しくて、面白い作品になっていると思います」
ポップパンクそのものがここ数年、音楽シーンで再評価されています。今の時代に、ポップパンクのどんなところがアピールするのだと思いますか?
「若い世代に共感を得たジャンルの音楽だと思います。音楽は繰り返し作用するもので、もう一度、ポップパンクがスポットライトを浴びる時期が来たということです。パンデミックの間にみんな音楽を聴いて、子供のころに聴いてた音楽に振り返って、また再発見したんじゃないかしら。私がまたそういった音楽に立ち戻ったのと同じような形でね。私は、自分のライヴショーを想定してこのアルバムを作りました。この曲たちは、コンサートでプレイしたらすごく楽しんじゃないかって思っています」
今回、トラヴィス・バーカーのDTAレコーズに移籍しましたね。トラヴィスやレーベルに何を感じ、どんな期待や希望を抱いて移籍したのですか? また、レーベルのボスとしてのトラヴィスはどんな存在なのでしょう?
「トラヴィス・バーカーと仕事をするのは本当に楽しいです。私は今、彼のレーベルに在籍していて、彼がレーベルの社長です。彼の素晴らしいところは、彼自身がアーティストであるということ。彼自身もクリエイティヴな人なので、彼と仕事をするのはとても気楽で。私のヴィジョンみたいなものも理解してくれますし、私がやりたいことをやらせてくれます。そういった自由を与えてくれるんです。それに、一緒に楽しむ事もできますし。一緒にスタジオで作業をしたり、曲を書いたり、彼が曲をプロデュースしてくれたりもしましたし、最近では一緒にパフォーマンスもしています」
トラヴィス・バーカーはファーストシングル「Bite Me(バイト・ミー)」はもちろん、『ラヴ・サックス』の全曲でドラムを叩いている。
今作ではマシン・ガン・ケリー、ブラックベアー、ブリンク182のマーク・ホッパスの3人の男性シンガーとのデュエットを披露しています。男性の視点を反映させることでアルバムに多面性が備わったと思うのですが、どんな意図でこれらのデュエットを企画したのですか? 何かお手本にした曲はありますか? また、どのような経緯で共演が実現したのでしょうか?
「どのコラボとも、自然な流れで生まれたものです。マシン・ガン・ケリーとは、ウィー・ザ・キングスのコンサートでトラヴィス・クラークを通して知り合いました。トラヴィスは、『ヘッド・アバーヴ・ウォーター』で一緒に曲を書くなどして仕事をした人です。そういう経緯でマシン・ガン・ケリーと出会って、『一緒に曲書かないとね』みたいな話をしていたんです。ずっと、一緒に仕事をしたいとは思っていて。実際に、このアルバムを作ることになった時には、彼もスタジオに来てくれて、モッド・サンやジョン・フェルドマン、トラヴィスと私と一緒に仕事をしました。そして、『Bois Lie(ボーイズ・ライ)』という曲を一緒に書きました。彼はスタジオに、ギターとアイディアを持ってきてくれました。素晴らしいソングライターで、一緒に作曲するのは楽しかったです」
「それから、その後でブリンク182のマーク・ホッパスとも作業をしたのですが、パンデミックに突入してしまい、ズームを通して共作をすることになりました。私にとっては今までにない体験でしたね。ブリンク182は大好きなバンドで、そのメンバーのマークと一緒に仕事ができることをとても楽しみにしていました。彼の仕事ぶりも見れました。とても才能がある人で、素晴らしいソングライターですよ。一緒に曲を作ることができて、とても嬉しいです」
「そして最後のほうになって、ブラックベアーと一緒に『Love It When You Hate Me(ラヴ・イット・ウェン・ユー・ヘイト・ミー)』という曲を作りました」
「Dare To Love Me(デア・トゥ・ラヴ・ミー)」は新しい恋愛の始まりを示唆する、希望を含んだ曲ですが、ここでしっとりとアルバムが終わるのかと思ったら、最後にもう一度、アップテンポでパワフルな怒りの曲「ブレイク・オブ・ア・ハートエイク」を突きつけて、アルバムの幕を閉じます。そのようなエンディングにしたのはどうしてでしょう?
「実は、『Dare To Love Me』はアルバムには入れたくなかった曲なんです。唯一のピアノ曲だったので。でも、(共作した)男子たちがみんな気に入っちゃって、入れて欲しいって言われて。ものすごく繊細な曲で、新たに恋愛に陥るっていうことをテーマにしていて、この手の曲はアルバムの中にはなかったし、こういったシンプルな作品は、ファンたちも気に入ってもらえるかなと思って、入れることにしました」
アートワークについて伺います。本作はポップパンクに回帰するアルバムではありますが、ジャケットに映るあなたのファッションは、『スケ8ター・ボーイ(Sk8er Boi)』時代のファッションとは、もちろん全く違います。今回のヴィジュアル面のコンセプトを教えて下さい。
「このアルバムのサウンド自体もそうだし、それにまつわる全てのものについて、気分を高揚させてくれるものにしたいと思いました。全体的に盛り上がるようなものにしたかったんです。私はパンクロックのファッションが好き。今でも自分の服を作るのが好きで、LAのデザイナーと一緒に服も作っています」
夢と野心に満ちた20年前のデビュー当時のあなたが、稀代の成功者となった現在のあなたを見たら、何と言うと思いますか?
「自分自身を褒めてあげたいです。若い時に、こういったシーンに出てきて、長く活動をすることを夢見てきたので。そして長年やってこられたのは、ファンのおかげでもあると思っています。20年間、ものすごく熱心にサポートしてくれたファンたちのおかげです。とてもクレイジーなキャリアを歩んできたと思っています。7枚目のアルバムになるなんて、信じられないですね。1枚目のアルバムから、20周年になるなんて。17歳の私には、『全部味わって楽しんで』って伝えたい。クレイジーな道のりになるけどって。実際にそうでしたから。とても、感謝しています。音楽を作り続けることができて、とても楽しいです」
最後に、来日を心待ちにしている日本のファンにメッセージをお願いできますか?
「日本のファンの方たちには、『(日本語で)ありがとう、こんにちは。日本からの愛とサポートには、いつも感謝しているよ』って伝えたいです。 日本は私のお気に入りの国で、大好きな国です。いつも言ってるから、みんな分かってると思いますけど。早く日本にツアーに行って、『ラヴ・サックス』からの曲をプレイしたい!」
<リリース情報>
アヴリル・ラヴィーン
『ラヴ・サックス』
発売中
Photo:ゲッティイメージズ
(フロントロウ編集部)