バレンシアガがファッションショーで、ウクライナへの連帯を表明した。(フロントロウ編集部)

バレンシアガのショーの座席にはウクライナの国旗のTシャツが

 いよいよ終盤になったファッションウィーク。4大ファッションウィークの最後の地であるパリで、バレンシアガ(Balenciaga)の2022年秋冬コレクションが発表された。今回のバレンシアガのコレクションでは、吹き荒れる吹雪のなか、モデルたちが最新コレクションに身を包み会場をウォーキング。かなり斬新なものとなった。

 いつも新しいことに挑戦し、その度に話題になるデザイナーのデムナ・ヴァザリア。この日ショーの会場の席には、ウクライナの国旗を彷彿とさせる黄色と青のTシャツが。

画像1: バレンシアガのショーの座席にはウクライナの国旗のTシャツが

 このTシャツは、出演モデルのベラ・ハディッドや観客として来場していたサルマ・ハエックなども実際に着用し、ウクライナへの連帯を表明した。

画像2: バレンシアガのショーの座席にはウクライナの国旗のTシャツが

戦争難民のデムナ

 じつは、デムナは戦争難民。デムナは現在のジョージア(旧グルジア)で起こった紛争から逃れ、10代で戦争難民に。そのため、今回ウクライナでの戦争中にファッションショーを行なうのは、かなり葛藤があったよう。

画像: 戦争難民のデムナ

 バレンシアガのショーの時に座席に置かれていたメモには、デムナの今の気持ちが綴られていた。

 「ウクライナでの戦争は、母国で同じことが起こり私が永遠に難民となった1993年以来、私の中にある過去のトラウマの痛みを引き起こしました。永遠に、これは内側に残るものだからです。恐怖、絶望、そして誰もあなたを必要としていないという現実。でも、人生で本当に大切なもの、人生そのものや人間の愛や思いやりといった最も大切なものにも気づきました。だからこそ、今週のこのショーの開催は、私にとって信じられないほど大変なものでした。なぜなら、このような時において、ファッションはその関連性や実際の存在意義を失ってしまうからです。ファッションウィークがある種の不条理に感じられるのです。自分もチームが一生懸命取り組み、みんなで楽しみにしていたショーをキャンセルしようかと一瞬思ったんです。しかし、このショーを中止することは、すでに30年近くも私を苦しめてきた悪に屈服することだと悟ったのです。あの無意味で無情なエゴの戦いのために、もう自分の一部を犠牲にすることはできないと判断したんです。このショーに説明は必要ない。恐れを知らないこと、抵抗すること、そして愛と平和の勝利に捧げるものです」

 バレンシアガは今回の戦争を受け、これまでコラボしたことがある国連世界食糧計画(WFP)に寄付をしたことを発表。実際に戦争を体験したデムナだからこそ、今回のショーは思うところがあったのだろう。(フロントロウ編集部)

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