ロビン・ウィリアムズが子役に語ったこと
コメディ映画俳優として、シニカルな『グッドモーニング, ベトナム』から心温まる『パッチ・アダムス』といった作品にまで出演し、幅広い層から支持されたロビン・ウィリアムズ。
カメラの前では明るく、温かく、面白い人物だった彼だが、プライベートでは薬物やアルコールの依存症にも苦しんだ。そんな彼は、1993年の映画『ミセス・ダウト』で共演した“息子”のマシュー・ローレンスに、薬物依存で苦しむ自分の姿を隠さず、代わりに、絶対に薬物をするなと語っていたという。
映画の公開当時13歳だったマシューは、劇中でロバートが演じたダニエル・ヒラードの息子クリスを演じた。プライベートでもロバートを慕っていたそうで、彼と話すために彼のトレーラーを訪れることもあったという。そしてそこで、ロバートに薬物についての話をされたそう。
「『ドラッグはやるな。とくにコカインは』。彼はとても真剣でした。彼は『私のトレーラーに来た時に、こんな状態になっているのを見ただろう?』と言い、『それが理由だ。そして私は残りの人生を闘わなくてはならない。なぜなら過去10年をとても愚かなことを毎日して過ごしたからだ。それ(ドラッグ)をやるな』と。彼が理由で僕はドラッグから離れていられた」
一度ドラッグの依存症になれば、残りの人生をかけて闘い続けることになる。当時、すでに闘いの最中だったロビンは、まだ13歳だったマシューの未来を守った。
薬物を摂取していなくても苦しむことになる
薬物に手を出し、続ける理由は人によって色々だが、ロビンは1988年に米Peopleのインタビューで、「私にとってのコカインとは、隠れる場所でした。多くの人はコカインによってテンションが上がりますが、私の場合は落ち着かせたのです」と語っている。
彼は、1982年に映画『ブルース・ブラザーズ』で有名なジョン・ベルーシが薬物の過剰摂取によって33歳で急逝し、さらに1983年に第1子が誕生したことで、コカインとアルコールを辞めた。
しかし、『ミセス・ダウト』の撮影現場でロビンがマシューに語ったように、彼の闘いは一生続いた。コカインを辞めてから約25年が経った2006年に、ロビンはふたたび依存症のリハビリ施設に入所し、治療を受けている。
その後彼は米NY Timesのインタビューで、「後ろで“ねぇねぇ”と誘うような声があり続けるんですよ。なので再発した時は(薬物を)激しくやりました。自分が直視したことがなかったのは、どれだけ正直に生きたいかというものでした」と、依存症の現実を語った。
マシューはその後もエンタメ業界で活動し続けており、『魔女の宅急便』でトンボの英語吹き替えも担当。そんな彼も、今年で42歳になった。しかし薬物に手を出したことはないという。彼を守ったのは、ロビンの思いと言葉だった。
(フロントロウ編集部)