ディズニープラスで3月30日より配信予定のMCUの新作ドラマ『ムーンナイト』で主演を務めるオスカー・アイザックが、米ウォルト・ディズニー・カンパニーに対し、フロリダ州で可決された性的指向の議論を禁止する法案に強く反対の立場を示すよう要望した。(フロントロウ編集部)

「ゲイと言ってはいけない法案」へのディズニーの対応に反発

 アメリカのフロリダ州で2022年3月8日、教師が生徒と性的指向や性自認といったLGBTQ+の話題について話し合うことを小学3年生以降になるまで禁止する法案が可決された。保守派を中心とした法案の賛成派からは、LGBTQ+に関する話は学校ではなく家庭で話し合うべきだとしてこの法案に賛成しているが、年頃の子供たちの相談相手が先生であることは珍しくなく、子供たちからその機会を奪うことは悪影響を及ぼすとして、反対派はこの法案を「ゲイと言ってはいけない法案(Don't Say Gay bill)」と呼び強く反発している。

画像: 米ウォルト・ディズニー・カンパニーで代表兼CEOを務めるボブ・チャペック氏。

米ウォルト・ディズニー・カンパニーで代表兼CEOを務めるボブ・チャペック氏。

 多くの著名人や企業が早い段階でこの法案に反対の意を表明したなか、米ウォルト・ディズニー・カンパニーの代表兼CEOのボブ・チャペック氏は、この法案に“沈黙”することを選択したことで批判されることに。

 決定的な発言を避け、事をうやむやにしたチャペック氏に世間からは厳しい声があがり、さらにディズニー社がこの法案を支持した議員に寄付をしていたことが明らかになったことで、「ディズニーをボイコットしよう」という動きが加速。

 その後、チャペック氏は謝罪文を発表し、その中でLGBTQ+コミュニティを支援する団体への寄付と継続的なサポートを約束した。

ディズニーの従業員からも抗議の声

 ディズニーをめぐっては、「ゲイと言ってはいけない法案」の可決後、「ピクサーのクリエイティブチームやエグゼクティブたちがどんなに反対しようとも、同性キャラクター同士が必要以上に親密そうにする描写は、これまでいつもディズニーの要請によりカットされてきました」とピクサーの従業員が告発するなど、作品内でのLGBTQ+のレプリゼンテーションに関してはまだまだ課題が山積みだと指摘されている。

 そうしたなかで、内部からもそうした環境の改善を求める声が未だにあがり続けており、現地時間3月22日には、米カリフォルニア州にあるウォルト・スタジオ・スタジオの外に約75人の従業員が集まり、上層部に対して抗議。

 従業員たちは「ディズニーはゲイと言え! 私たちは出て行かない!」「私たちはクィア! 私たちはここにいる!」とチャントしながら行進していたと米Varietyが報じているほか、参加者たちが同メディアに明かしたところによれば、参加者たちの直属の上司たちは進んで彼らの行動をサポートしてくれたという。

オスカー・アイザックがディズニーに要望

 加えて、ディズニーの作品に出演する俳優たちからも抗議の声が。米Varietyによれば、3月30日よりディズニープラス(Disney+)で配信予定のMCUの新作ドラマ『ムーンナイト』で主演を務めるオスカー・アイザックは、同作のプロモーションのためのオンラインインタビューでこの件についてコメントしたという。

画像: オスカー・アイザックがディズニーに要望

 オスカーは、「僕のコメントとしては、(歌いながら)『ゲイ・ゲイ・ゲイ・ゲイ・ゲイ・ゲイ・ゲイ・ゲイ・ゲイ・ゲイ・ゲイ・ゲイ!』になるでしょうね」と、ゲイを連呼するという皮肉たっぷりのリアクションをした上で、「言うまでもなく、こんなのは馬鹿げた法案です。狂っていますよ。狂気の沙汰です」とフロリダ州の法案を批判。

 「ディズニーが会社として可能な限り強く前に出て、この考えに反対の立場を示してくれることを願っています。この国に(この法案が)存在するということだけでも驚愕ですよ」と続けて、ディズニーに対し、この法案を断固として否定する姿勢を示してほしいと求めた。

 ちなみに、ディズニー傘下であるマーベル・スタジオも先日、オスカーの発言に先立って“ゲイと言ってはいけない法案”に反対する姿勢を表明。

 「私たちは、LGBTQIA+コミュニティの基本的な人権を侵害するいかなる法案も強く非難します。マーベル・スタジオは希望や包括性、強さのために立ち上がり、誇りを持ってコミュニティと共にあります。今日、私たちは平等や受容、尊敬の価値観を促進するアライ(※LGBTを理解・支援する人)として、これからも力強くコミットメントしていくことを誓います」とSNSに声明を発表した。

(フロントロウ編集部)

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