エマ・ワトソン、18歳の誕生日パーティーでの辛い経験
映画『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー役で有名なエマ・ワトソンは、18歳になった途端に経験した性暴力被害を、ジェンダー平等のためのキャンペーンHeForSheのイベントで2016年に明かしたことがある。
「18歳の誕生日に誕生日パーティーから外へ出たら、フォトグラファーたちが道に寝転んで私のスカートの中を撮ってきました。その写真は翌日の朝にイギリスのタブロイド紙の表紙として掲載されました。もし彼らがその写真を24時間前に出版していたら、それは違法でしたが、私はちょうど18歳になったばかりだったので、それは合法でした」
エマが18歳になったのは2008年のことなので、当時のイギリスではすべての盗撮行為が刑事罰の対象ではなかったと予想される。イギリスでは、フロントロウが以前インタビューを行なったジーナ・マーティンさんの活動により、2019年に盗撮行為を刑事罰の対象とする新法が施行された。
しかし、エマの経験から分かるのは、18歳になったばかりの少女がどれだけ性的搾取のターゲットにされているかだ。
「成人」になることを待たれる女性たち
幼少期・未成年の頃から、不審・卑猥な声かけや、体をタッチされる、痴漢、盗撮といった性暴力被害を経験している女性はかなり多い。性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターが2020年に発表した相談データからも、相談者のじつに40.6%が19歳以下だった。
そういった性暴力被害のなかには被害者の年齢にかかわらず逮捕される罪もあるが、エマの一件のように、被害者が未成年か成人であるかで加害者が罰せられにくいものが存在する。そしてエマのように、 “成人相手ならば問題になりにくい”という理由から、成人年齢である18 歳になった途端に被害にあったという女性も出てくるのが現実。
Netflixの大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス』の主演であるミリー・ボビー・ブラウンは2月19日に18歳の誕生日を迎えたが、その前には米掲示板サイトRedditの成人向けコンテンツを投稿するスレッド「NSFW(※)」で、彼女が18歳になったらオープンすると予告するチャンネルが立ち上がった。
その目的は児童ポルノ法にひっかかることなく彼女の性的な画像を投稿するためだとされており、6,000人のメンバーがいた。そのチャンネルは倫理観を持ち合わせた多くのユーザーから通報を受けて、現在は削除されたと見られる。
※Not Safe For Workの略。職場での閲覧には安全ではないという意味。
10代女性のAV出演
日本では、4月から成人年齢が18歳に引き下げされることで、18歳や19歳のAV出演被害が深刻化することが懸念されている。これまでは、18歳と19歳においては親(法定代理人)の同意がなければ契約を取り消すことができる未成年取消権があったが、今後はその権利がなくなるため(引き続き詐欺や強迫による取り消しはできる)。
3月23日に記者会見を開いたヒューマンライツ・ナウの伊藤和子弁護士は、包括的な法律を求め、特別立法などによる解決の必要性を訴えた。
とくに若い女性たちが被害に遭いやすい性暴力被害。社会全体で解決のために行動する必要がある。
(フロントロウ編集部)