マーベルの重役がディズニーCEOの消極的な姿勢を非難
GLAADメディア賞授賞式でスピーチを披露したマーベル・スタジオのプロデューサーで映画制作のトップでもあるヴィクトリア・アロンソ氏が、米ウォルト・ディズニー・カンパニーの代表兼CEOのボブ・チャペック氏と、つい最近、反LGBT法について約45分間にわたって話し合ったことを明かすと同時に、同氏に社を挙げて“立ち向かうよう”呼びかけた。
ご存じの方も多いと思うが、今年3月、アメリカのフロリダ州で、教師が生徒と性的指向や性自認といったLGBTQ+の話題について話し合うことを小学3年生以降になるまで禁止する法案が可決された。保守派と呼ばれる人たちは、LGBTQ+に関する話は学校ではなく家庭で話し合うべきだとしてこの法案に賛成しているが、年頃の子供たちの相談相手が先生であることは珍しくなく、子供たちからその機会を奪うことは悪影響を及ぼしかねないとして、反対派はこの法案を「ゲイと言ってはいけない法案(Don't Say Gay bill)」と呼び強く反発している。また、現在、テキサス州やアリゾナ州といった他の州でも同様の法案が検討されている。
当初、フロリダ州の法案に沈黙をする選択をして批判を浴びた米ウォルト・ディズニー・カンパニーの代表兼CEOのボブ・チャペック氏は、その後、謝罪文を発表し、LGBTQ+コミュニティを支援する団体への寄付と継続的なサポートを約束。その一方で、これまでディズニーとタッグを組んで数々の名作を世に送り出してきたピクサーの従業員が、ディズニーの意向で同性愛を好意的に描くシーンがカットされたことを告発するなど、会社として多様性やインクルーシブを尊重する“表向きの姿勢”と実情の違いに外部だけでなく内部からも批判の声があがっている。
同性と結婚しているアロンソ氏は「もしあなたがLGBTQIAコミュニティのメンバーで、ウォルト・ディズニー・カンパニーで働いているなら、この2、3週間は悲しい出来事だったでしょう。先日行なった座談会で私はチャペック氏に勇気を出すことを求めました。周りを見渡して、私たちが売っているものが家族のためのエンターテインメントなら、家族を選ばないでくださいとお願いしました。家族とは、この部屋全体のことです。家族とは、テキサスの家族、アリゾナの家族、フロリダの家族、そして私の家族のことです」と言うと、こう続けた。
「ここでチャペック氏にもう一度お尋ねします。どうか尊重してください。私たちがファミリーフレンドリーだというのなら、このような時代遅れの法律に反対する立場をとってください。私たちを容認すると言うのはやめてください。誰も私を容認していません。あなたはフロリダの暑さも、アリゾナやフロリダの湿度も、アリゾナやテキサスの乾燥も容認しています。2歳児のかんしゃくも容認しています。でも、あなたは私たちを容認していません。私たちには、生きる権利、愛する権利、持つ権利があります。なにより私たちはオリジン・ストーリーに値します」
また、アロンソ氏は変化をもたらすために人々が果たすべき役割についても言及。「皆さんも黙っているのはやめましょう。沈黙は死です。沈黙は毒です。もしあなたが立ち上がらなければ、もしあなたが戦わなければ、もしあなたがお金を出さなければ、もしあなたが投票しなければ、私たちにできることはパーティーをしてゲイでいることだけです。戦ってください!私はマーベル・スタジオにいる限り、私たち全員の代表として戦っていくつもりです」と訴えている。(フロントロウ編集部)