差別が起きたときに傍観するのは容認と一緒。同性愛者たちにホモフォビア(同性愛嫌悪)的なヘイトが寄せられた時に、社会を構成している企業やブランド、公共機関がそうしたヘイトにきっぱり「No!」を突きつけることは大切なこと。ここでは、ホモフォビアに毅然として対応した海外の5つの企業や団体を紹介。(フロントロウ編集部)

ドラマ『ウォーキング・デッド』

 大人気ドラマ『ウォーキング・デッド』のスピンオフ『ウォーキング・デッド: ワールド・ビヨンド』では、ゲイの青年であるメインキャラクターのフェリックスと、男性の恋人ウィルとの恋愛模様が描かれた。

画像: フェリックスを演じたニコ・トルトレッラ(左)とウィルを演じたジェラニ・アラディン(右)。

フェリックスを演じたニコ・トルトレッラ(左)とウィルを演じたジェラニ・アラディン(右)。

 ウィル役のジェラ二は2021年、ポッドキャスト『Talk Dead to Me(原題)』に出演した際に『ウォーキング・デッド』においてLGBTQ+のレプリゼンテーションを描くことの重要性について語ったのだが、その後、男性キャラクター同士の同性愛を受け入れられない一部の視聴者たちから、ホモフォビア的なコメントが寄せられることとなった。

 そうした事態を受け、すぐにホモフォビア的な意見に抗議するコメントを発表したのが、『ウォーキング・デッド』の製作陣。彼らは、シリーズの公式ツイッターに発表したコメントで、ホモフォビアを決して容認しない姿勢を示した。

「こんにちは。もし、あなたが、テレビドラマ(もしくは、その他の場所)におけるLGBTQ+のキャラクターに不快感や怒りを感じているなら、どうか私たちをアンフォローしてください。そういった人たちには、自分の内面を見つめ直すとともに、もっと寛大になることをおすすめします。私たちのファンダムには、憎悪に満ちた差別や意図的な無知さの居場所はありません」

Netflixと米・テレビ局Freeform

 2020年5月、Netflixが多くの番組にゲイのキャラクターを登場させていることについて、“Netflixはあらゆる番組に「不要なゲイのキャラクター」を強要している”とする、ホモフォビア的なツイートが出回り、多くの人たちによって拡散される事態に。

 Netflixはこの事態を決して看過することなく、拡散されていたこのツイートを直接引用する形で、「申し訳ないですが、すべてのゲイの人々がこの上なく必要だということにあなたは気がつかなければいけません」とツイッターで反論。

 このツイートには、米ディズニー傘下のテレビ局であるFreedomもリアクション。Netflixによる反論にリプライする形で、「ワーオ。こういう奇妙な意見こそ、ゲイのキャラクターたちが過度なまでに必要な理由だよ。その調子で、ネットフリックス」と、ホモフォビアに対抗したNetflixを称えた。

食品メーカーのマッケイン・フーズ

 カナダに本社がある食品メーカーであるマッケイン・フーズは、2017年に「ウィー・アー・ファミリー(私たちは家族)」と銘打ったキャンペーンを発表した際、そのコマーシャルで男性のゲイカップルも登場させたのだが、一部の人々からホモフォビア的な反発が寄せられることに。

 マッケイン・フーズはそうしたホモフォビア的な一部からの批判に屈することなく、その後も継続して男性同士のカップルをコマーシャルに登場させることを決定。マッケイン・フーズのスポークスマンは当時、声明で次のように述べた。

「私たちのキャンペーンは、家族の生活の多様性を祝福するためのものです。誰もがノーマル(とされる)家族というわけではありません。(コマーシャルの)30秒間で伝えられることはたくさんあります。私たちは今後も彼らをプロモーションし続けます。彼らはポスターにも登場しますし、私たちのソーシャルメディアにもです」

鉄道会社のスコットレール

 スコットランドの旅客列車サービスを運営しているスコットレール(ScotRail)は2021年、6月のプライド月間を祝して、6色のレインボーカラーからなるプライドフラッグに、トランスジェンダーフラッグの色と社会的に疎外されてきた有色人種のLGBTQ+を表す色を足したプログレッシヴ・フラッグのカラーに車両をペイント。

画像: ©️ScotRail

©️ScotRail

 「スコットランドのLGBTQ+コミュニティへのサポートを示すため」だとして、スコットレールがこの企画をツイッターで発表すると、「あなた方は(車両を)『ストレート』色にも塗るんですよね? それとも私たちは差別されるのでしょうか?」 と、LGBTQ+の人々のための色に塗るのだから、異性愛者のためにも色を塗らないのは“逆差別”だという反論が寄せられることに。

 しかし、プライド月間はそもそもLGBTQ+コミュニティの人々が差別や暴力を受けてきたからこそ作られたもので、“ストレート月間”がないのは、ストレートだからという理由だけで警察に逮捕されたり殴られたりした歴史がないストレートの人々の特権があるからこそ。スコットレールもそこを指摘してこう反論した。

「ストレートの人は、人生のパートナーと手をつないでいたからといって顔を殴られることはありませんし、ストレートであるというだけで海外で処刑されることもありません。くだらないことを言う前に、自分で勉強してください」

サウス・ヨークシャー消防署

 イギリスのサウス・ヨークシャー消防署は、同国でLGBTヒストリー月間にあたる2022年2月、LGBTQ+月間がいかに大切かを語った動画を公式TikTokにアップし、LGBTQ+コミュニティとの連帯を示したのだが、一部の人々から、公共機関が「ゲイコミュニティと関わるのは間違っている」などとするホモフォビア的なコメントが寄せられることに。

 サウス・ヨークシャー消防署は間もなくしてそうした意見に反論したのだが、その方法はとてもユニークなもの。消防署は、消防隊員たちがレインボーフラッグを振ったりしながら、実際に書き込まれたネガティブなコメントを無表情で淡々と読んでいくという、皮肉たっぷりのアンサー動画をTikTokにアップして、そうしたホモフォビア的な意見には取り合わない姿勢を示した。

 さらに、隊員たちの“音読”のあいだには、「LGBT+の人々は、今も家庭や職場で偏見にさらされています」「私たちは、自分たちが働く人、そして一緒に働く人と連帯するために、LGBT+プライドを祝います」「火は差別しません。私たちも差別しません」と、市民にも同僚にも当事者がいるなかで自分たちが連帯を示すのは当然だとするメッセージも流され、公共機関として率先して声をあげることの重要性を強調した。

 サウス・ヨークシャー消防署が発した「私たちは、自分たちが働く人、そして一緒に働く人と連帯する」というメッセージが象徴するように、私たちの社会には多様な人たちがおり、全員の基本的な権利が守られるべきであることは当然のこと。そして、私たちの社会を構成するメンバーであるLGBTQ+の人々のそうした権利が脅かされそうになった時には、社会の中で影響力を持つ企業や団体が、率先して反対の声をあげることが大きな意味を持つ。(フロントロウ編集部)

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